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労福協 活動レポート

2015年8月31日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第4号)

元参議院議員 峰崎 直樹

激動の中国経済、人民元切り下げから株価の暴落への介入へ

さて、世の中はお隣の中国の動きに翻弄され、政治だけでなく経済においても激動の8月になったようだ。最初に驚かせられたのが人民元の切り下げであり、どうやら対ドルで4~5%の引き下げでとどまったようだが、果たしてこのレートで中国経済の不況局面からの脱却が出来るのかどうか、専門家の中には、まだまだ相対的に見て人民元高であり、回復への見通しは暗そうだ。もしかすると、人民元をIMFの特別引き出し権に組み込むための作業の一環だったのではないか、とも囁かれているが、真相は闇の中である。

まるでアテにならない中国の経済統計、粉飾が蔓延する体質

ちょっと日本の財政問題から離れるのだが、中国経済が今どのような実態にあるのか、中国政府の発表する統計データがあまり当てにならないため7%の成長に落ち込んだと言われても、本当に7%なのかどうか、まことに怪しいのだ。よく李克強首相が、自分の国の経済統計で信頼していいのは「電力使用実績、鉄道輸送実績、銀行融資実績」ぐらいのものだ、と発言したと国内外で喧伝されているという。やはり、国有化している企業がまだまだ多く、地方の幹部や企業の幹部にしてみれば、経済の実績が自分の立身出世に繋がるだけに、ついつい実績を膨らませてしまうという利益相反の立場にあることを見ておくべきだろう。いわゆる「粉飾」決算と同様のものなのだろう。

注目されるアメリカFRBのFOMC、金利引き上げなるか

為替の引き下げと並んで進められたのが株式相場への介入であり、中国経済の先行きに対する見方は大変厳しいものがあり、連動して世界各国の株式相場もここ1~2週間は乱高下を繰り返し、実体経済と並んで資産運用の面でリスクを回避しようとする動きが強まってきた。今後、為替相場がどのように展開していくのか、とりわけ日本の為替相場が120円台の半ばから110円を切る水準にまで引き上がったものの、今後為替が更に引き上げが続くのかどうか、株式相場の動きと並んで注目して行かなければなるまい。特に、アメリカFRBの9月に予定されているFOMCにおける金融政策が、量的緩和政策を終焉させ、金利の引き上げに踏み込むのかどうか、最大の焦点となってきた。イエレン議長の采配が注目される。

そんなわけで、時々は経済を中心に最新の動きにも今後触れていくことにしていきたい。

国の財政「出を量りて、入るを制す」だが、不足分は借金頼みへ

さて、前回は財政赤字が累積で1,000兆円を超す水準にまで積み上がって来たにもかかわらず、財政は一向に破綻する兆しを見せていないではないか、という事への一応の自分なりの回答を示しておいた。結論としては、財政赤字を国内だけでファイナンス出来る経常収支黒字額を確保し得ている限り、国債発行は維持していけることを主張しておいた。

ところで、本来なら国家財政なるものは「出を量りて、入るを制す」でなければならないはずである。つまり、国民生活の向上や治安の安定などに必要な財政支出を計算して、必要な税収を求めていくべきが原則なのである。この点では、一般の家計や企業とは逆になっている。つまり「入るを量りて出を制す」によって、家計や企業のやりくりをしていかなければならないのだ。現代国家には、租税高権(徴税権)として国民から租税を徴収できる権限を持っているのだ。もちろん、国家が勝手気ままに国民に租税賦課をさせないように、国民の代表である議会の場で、国民から正当な選挙で選出された議員の賛成を得なければならないことは言うまでもない。日本国憲法には租税法定主義の原則が第84条に高らかにうたわれている。

「新たに租税を課し、又は原稿の租税を変更するには、法律または法律の定める条件によることを必要とする」

政治家は、選挙で落とされる恐怖を持つ限り増税はタブーへ
必然的に、国債発行依存へ

残念ながら、国民に税負担を求めることは大変なことであり、多くの政治家は嫌がることが多い。また、国民は増税を課す政党に厳しい審判を加えてきたことも多くあった。そのため、不足する分は国債を発行することによって賄うことに向きがちであり、戦後は昭和40年度の補正予算から始まった国債発行だが、その累積額が今日では先に見たようにGDPの200%を超え、1000兆円にもなんなんとする巨額に達しているのだ。その国債の中には、後世代に資産が残せるものは建設国債として現行財政法でも認められているのだが、それ以外の国債は財政法で禁じられている為、その都度財政法の適用を国会で議決して特例(赤字)国債として発行しているのだ。この特例国債こそは、まさに次の世代に借金だけを残しているとして、早くその発行をゼロにすべく努力するよう求められているにもかかわらず、今日に至っても特例国債の発行にも歯止めがかかっていないのだ。

財源不足を賄うのに、国債発行と税負担ではどう違うのか

問題提起をしてみたいのは、このように財政赤字を国債で賄う事と、その分を税の引き上げで国民から徴収する事との違いをどのように考えたらよいのか、と言う点である。

財政赤字を国債発行で賄うとした場合、誰がその国債を買うのだろうか。国債を購入するのは個人も購入する道はあるが、まだごくわずかでしかない。買うのは銀行や生命保険会社など主に金融機関が預貯金や保険料などを財源に購入していく。つまり、国民の預貯金が国債購入の原資となって行くのであり、先に述べたように国民(民間企業も)の預貯金こそが国債購入を支えているのだ。その国債には、元本と利息が付いており、我々国民は毎年国債費として元本と利息を付けて金融機関に払っているわけだ。問題は、そこから先であり、金融機関は預金者や保険料を預けてくれた方たちに対して、銀行の利息や利息分の一部が付加された保険金として返戻することになるわけである。

累進性を持った税で負担すれば、所得再分配機能は高まる。
国債発行で賄えば、裕福な国債所有者に優遇措置を与えることになる

さて、もし国債発行分を租税で賄うとして、その分を増税するとしたらどうなるだろうか。おそらく、その負担が所得税のように累進性を持った税制の引き上げで賄うとしたら、その負担分は高額所得者に多くかかってくる。もし、消費税で持って負担するとしたら、多く消費する方たちに多く負担がかかってくる。どちらにしても、高額所得者には税で負担をすることには多く負担が求められるに違いない。又、そうすべきなのだ。となると、国債発行をすれば、高額所得者には国債元本と金利が付け加わって有利な金融商品となるのに、直接税金で支払おうとすれば自分たちが多くの負担を被らなければならなくなるのだ。

こうして考えてみると、税負担を逃れて国債発行に頼っているやり方は、富裕層の方たちに利益が多くなり、貧困層の方たちにとってはそのツケを負担させられる側に回ってしまうという不利益をこうむってしまう事を見てとる必要がある。

もちろん、支出増が社会保障分野であれば、累進度の無い消費税でも所得再分配は実現できる

もちろん、必要な支出増が低所得層のための社会保障財源のためであれば、貧困層の方たちの方に多くのメリットがあり、富裕層の方たちにはそれほどのメリットは少ないかもしれない。しかし、それでも国債発行に頼るよりも、直接国民に負担を、特に高所得者に多く負担してもらえるような累進性のある税目での引き上げがなされれば、国債発行で賄うよりも租税で直ちに負担をしていく方が、はるかに多くの国民にとって有利になるのである。われわれは、租税の負担一般に厳しい態度を取ることが多いのだが、それは結局国債発行となって富裕層の方たちに有利になることをしっかりと見なければならない。

もっとも、ハイパーインフレが起きて、累積債務が一挙に軽減されることになれば、国債を所有していた富裕層も大きな痛手を食ってしまうわけで、インフレタックスこそは、政府が一番選択しがちな解決方法になるのかもしれない。ちなみに、ハイパーインフレになれば、やはり貧困層こそが一番影響を被ってしまう事を忘れてはなるまい。さらに、国際的な評価も厳しいものになることは間違いない。

(続く)


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