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労福協 活動レポート

2018年3月26日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第39号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

さすがに彼岸が過ぎて、東京あたりでは満開の桜の下、春爛漫の時を迎え始めたようだ。ただし北海道は残雪の雪割に忙しく、桜の開花も5月連休前後まで待たなくてはならない。もっとも、根室や稚内などは、それよりもまだ遅く6月近くにならないと開花しないわけで、日本列島の南北の長さが痛感される今日この頃である。

米中激突、先ずは経済対立へ、トランプ時代は大混乱の時代か

世界は、ますます激動の時代に突入しており、経済的にはグローバリゼーションが進む中で、自由貿易の御利益を先進国や途上国が享受することによってますますお互いが豊かになるのではないか、という信念が揺らぐ時代を迎えつつある。そのリーダーであったアメリカにおいて、まさかと思われていたトランプ氏が大統領に選出され、次々に「アメリカ・ファースト」のスローガンの下で、近視眼的にただただ自分の国の事だけを優先する政策を次から次へと打ち出してきている。地球温暖化に向けたパリ協定やTPP(環太平洋自由貿易協定)からの離脱、さらにはイランの核開発への関係各国間合意の見直しの動きなど、国際社会を揺るがしかねない愚挙が続いてきた。

ここにきて、一挙に進んで来たのが貿易戦争とでも表現していい動きであり、経済大国として台頭してきた中国に対する貿易制裁を22~23日にかけて発表した。なんと中国に対しては中国製品に対して約500~600億ドル、日本円にして約6兆円にも及ぶ巨額の関税を課すことに決定し、知的財産権の侵害などをWTOに提訴したと発表している。どんな輸入品にどれだけ関税をかけるのか、今週中に公表されるとしているが、既に実施することを決めた鉄鋼やアルミへの関税化と共に、輸入数量制限も打ち出そうとしている。こうした制裁を発動した根拠としてトランプ大統領は、「対中貿易赤字は巨額で制御不能、こんなことは終わりだ。そのために私は大統領に選ばれた」と語ったと報道されている。自らのアメリカが、貯蓄不足で過剰消費社会であることを忘れた暴論で、経済政策としては間違っている事は明白である。

中国の反撃、最後まで闘う姿勢堅持だが、交渉への道も模索か?

これに対して中国政府は対抗措置を取ることを決めることは確実で、華報道官は23日の記者会見で「お返ししなければ失礼、最後までつきあう」(この文章はNHKからの引用だが、出典は中国の儒教の古典『礼記』にあるようだ)と言明した。まさに、中国が仕掛けられた貿易戦争を堂々と受けて立つことを宣言したわけで、世界経済は大動乱の予感を感じ始めたのだろう、アメリカのニューヨークダウの株価も大きく下落し、東京株式市場を始めとする世界の株式市場も大きく下落するに至っている。今週以降発表される制裁措置の内容とそれに対する中国の対抗措置がどのようになるのか、世界は固唾を飲んでその行方を見守っている。もっとも、新しく経済担当の副首相に就任した劉鶴氏は、ムニューシン財務長官と電話の会談を実施したようだが、劉鶴副首相は、習近平氏の経済ブレーンで経済政策の要になる人物と見られており、米中間のやり取りが注目される。

日本への警告、トランプ流の交渉術なのか、安倍政権に痛打!

なんと、日本に対しても鉄鋼の関税が適用されることになるようで、安倍政権にも衝撃が走っているようだ。「日米同盟という固い絆(?)」で結ばれている上に、「トランプ氏と仲の良い安倍総理」の事でもあり、鉄鋼とアルミの関税について日本は対象外になるのではないか、という甘い読みは吹っ飛んでしまい、ただでさえ森友問題という難問の直撃に苦しんでいる安倍政権に更なる難問を持ち込んできた事実は重い。トランプ大統領は、日本に対しても次のように語ったと報道されている。

「日本の安倍首相や他の人たちに言っておきたい。彼らはいいやつで私の友人だが『こんなに長い間、米国をうまくだませたなんて信じられない』とほくそ笑んでいる。そんな日々はもう終わりだ」(24日付日経新聞より)

何という冷徹な言葉だろう。安倍総理をはじめ、多くの日本の政治家や経済界の方達は、国際政治の冷厳な現実に震え上がったのではないだろうか。これから始まる日米の経済面での厳しい交渉は、大国間の激しく剥き出しの利害が激突する問題であり、両首脳の個人的な信頼関係だけで解決できるほどの簡単な問題に終わりそうもない。相手のトランプ氏は、ディールの達人だと称されており、2国間の交渉に引きずりこまれては安全保障上の弱点を握られているだけに容易なことではない。交渉に於いてどんな対処をするべきなのか、それこそ多角的・重層的な外交努力が求められているようだ。

気になるネオコン、ボルトン元国連大使が大統領補佐官就任へ

とりあえずは、今年秋の中間選挙までの動きが焦点になるわけで、アメリカ政治の動きから目が離せなくなっている。とくに、マクマスター氏からボルトン元国連大使へと、安全保障担当の大統領補佐官が交替することによる北朝鮮や中東への対応が厳しくなることも予想されるだけに、経済だけでなく軍事的な衝突をどのように回避できるのか、注目したい。その際、核兵器を保有するロシアや中国との核戦争の危機をどのように乗り越えて行けるのか、人類の生存の危機が迫りつつあるのかもしれない。

本来であれば、中国の習近平体制がなぜ2期10年という憲法上の決まりを変えなければならなかったのか、中国の政治・経済の抱える問題点とこれからの展望についてもしっかりとウオッチしていく必要があると思う。とりわけ見失われがちなのだが、台湾問題の行方が心配される。そのことは、中国だけではなく、北方領土問題を抱えているロシアのプーチン政権も同様であろう。世界は、何と形容していいのか、経済も安全保障も、大乱の時代に突入し始めたのかもしれない。

森友問題、佐川元理財局長証人喚問へ、証言拒否連発の虞あり

国内の政治に目を転じてみたい。焦点になっている森友問題については、今週27日に、佐川元国税庁長官の証人喚問が午前午後衆参に分かれて実施される。どこまで真相が解明されるのか、予断を許さないのだが、おそらく誰からの指示があったのか、自分一人だけで決断して「改竄」(前号で「書き換え」としていたが、やはり「改竄」とすべきと思い訂正したい)をしたのか、何故虚偽の国会答弁を繰り返してきたのか、など重要な質問に対しては恐らく「起訴されている立場なので、捜査に関係してくるので答弁をさし控えさせていただきたい」を連発してくるのではないか、と思われる。

質問に立つ野党側の国会議員は収監中の籠池理事長と面談してきたが、決定的な証拠を突きつけることによる真相は解明できないままであろう。そうなれば、さらなる財務省の関係者だけでなく安倍昭恵夫人の国会への招致も問題になるわけで、佐川氏の証人喚問だけで、この問題は一件落着とはいかなさそうだ。国民の疑いの思いは晴れそうになく、引き続き安倍政権の抱えるアキレス腱として存続しつづけるに違いない。なんと、あの産経新聞が「拝啓 安倍昭恵さま」と題する21日付のコラムで、昭恵夫人が「政府・与党内だけでなく安倍首相を支持する層にも疑問符を拡げ、政権の足を引っ張りつつある」として行動の自粛を求め始めている。

朝日新聞スクープが救った政局、安倍政権の政治責任は不可避

実はこの問題は、加計学園問題と並んで昨年の都議会議員選挙で一度は大きく火が噴いた問題であり、たまたま総選挙という一大ばくちに打って出て、野党側の分裂による漁夫の利を得たにすぎなかったわけだ。それが、今月2日の朝日新聞の報道によって再び火が付き、安倍政権を窮地に追い込んだのだ。今回の朝日新聞のスクープは、まさに政治の流れを大きく変えたものであり、特筆すべき快挙と言えよう。
だいたい一介の官僚に過ぎない佐川氏だけに責任を押し付ける政治に対して、自民党内の中からも批判が上がり始めており、麻生財務大臣の辞任は、もはやタイミングの問題でしかないと思う。予算が通ったら麻生財務大臣は辞任するのではないか、と永田町界隈では密かに噂されているとのことだ。だとしても、今年秋の自民党総裁選挙を控えているだけに、それだけで終わるとは思えないわけで、最終的には安倍総理の退陣で以て幕引きする以外に着地点はなさそうに思われる。安倍総理の悲願であった憲法改正問題についても、25日の自民党大会に安倍総理の顔を立てる形は作ったものの、本気で改正に向けた論戦をリードして行く動きになるのかどうか、まことに怪しい。既に安倍政権は多くの国民にとって魅力あるものとは映っておらず、終焉の時を迎えつつあるのかもしれない。

劣化する自民党政治家の、トンデモナイ言動の数々に驚き

それにしても、今回の森友改竄問題での自民党和田政宗議員の質問にはあきれ返って物が言えない。毎回真摯に答弁に立った大田理財局長に対して、局長が民主党の野田総理秘書官を務めていたことにこじつけて、「増税派だからアベノミクスを潰すために、安倍政権をおかしくするために、意図的に変な答弁しているんじゃないですか」と発言したのだ。さすがに温厚な太田局長も、3回に亘って「それはいくら何でも」容赦してくださいと声を震わせて反論していた様子は,NHK・TVを通じて放映されたわけで、野党側の抗議で議事録から削除はされたとしても、国民の脳裏にはしっかりと焼きつけられている。「佐川」「佐川」と呼び捨てにする財務大臣もさることながら、「週休7日なら良いのか」と発言したワタミの経営者の発言、さらに文科省の教育現場へ介入をそそのかす安倍チルドレンと言い、なんとも劣化する自民党議員の存在にも、うんざりさせられる今日この頃ではある。

今週号もまた何処ででも噂されているような課題に終始してしまったが、今後はもう少し掘り下げた通信にすべく頑張りたい。


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