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労福協 活動レポート

2018年3月19日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第38号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

桜の開花早まる今日この頃、目まぐるしく変わる内外情勢に注目

先週、久方ぶりに上京し皇居の近くを散策する時間が取れた。北海道もようやく春が近いと思わせ始めたが、東京は予想以上に気温が上がり、千鳥ヶ淵の周りの桜も早い開花を予感させてくれていた。再び札幌に帰った週末、外はかなりの雪が積もってしまい、今年最後の雪ハネになって欲しいと祈りながら除雪作業に汗を流した。どうやら例年より早く、17日に東京の桜開花宣言が出たようだ。

それにしても、内外の目まぐるしい動きには、今後どう進展して行くのか予想がつかない事も多く、時代のメガトレンドをどのように掴んでいくべきなのか、なかなか難しい。それでも出来るだけ眼を見開いて、問題の進展を見続けて行きたいと思う。

森友問題の真相究明、佐川元理財局長だけの責任では無いはず

当然のことながら、何よりも森友問題の進展に引き続き注目せざるを得ない。先週12日には、財務省が森友関連の公的文書の書き換えを正式に認め、その責任をひたすら辞職した佐川元理財局長に押し付けようとしている。たしかに、佐川局長が森友問題の土地売却について、疑惑への国会答弁をほぼ一手に引き受け、「資料は廃棄処分したので財務省には無い」とか「政治家などからの働きかけは一切ない」「価格の交渉はしていない」等と実にあっさりと断定的に答弁していた。それに合わせるべく公文書を書き換えたであろう事は、われわれにも想像できるし、直接的にはそうなのかもしれない。

でも、佐川氏だけが答弁に関わり、財務省の中枢を占める官房長や事務次官、さらには政治家としての最高責任者である財務大臣との打ち合わせをしなかったのだろうか。あるいは、昨年2月17日の安倍総理の国会での答弁、即ち「私も妻も関与していない。関与していたら首相も、国会議員も辞めますよ」と明言している。それを受けて佐川氏等財務官僚が、政治家や安倍総理夫人などの名前が言及されている事を知っていたとしても、政局に関連するだけに財務省としては、公的文書から関連する箇所を削除せざるを得なかったことは想像に難くない。

文書書き換えの始まりは、安倍総理の昨年2月17日の発言から!

理財局長とはいえ一介の官僚の立場で、刑事事件に問われかねない大胆な書き換えが、このように露骨に進められるはずはない。小泉元総理が発言しているように、この問題に関する昨年2月17日の総理発言から事態は大きく動き始めたと見るのが素直な見方であろう。

麻生財務大臣は、しきりに「佐川が」「佐川が」と責任を佐川氏だけに押しとどめようとしているのだが、その佐川氏を庇いつづけたのも麻生財務大臣だったわけで、財務省の最高責任者としての責任は免れることは出来ない。これほどの問題を、一理財局長の責任だけで終わるはずもないわけで、当時の事務次官以下の動きも含めて調査をすべきだと思う。16日の麻生大臣の記者会見で、麻生大臣自身は佐川氏の調査には関与していない事がはしなくも露呈し、それでいて佐川氏の責任だけを強調している事には到底国民の納得は得られない。(現に、各紙の世論調査が実施され、内閣の支持率が大きく低下し不支持率が上回る結果も出てきているようだ)

別のルートとして、国交省から6日の日に、書き換えられる前の財務局作成文書が官邸や財務省に提示されており、11日になって初めて知ったと公言していた安倍総理や麻生大臣の発言との食い違いなど、今後国会で追及されていく論点が山積している。官邸と財務省一体になって書き換え問題にどのように関与していたのか、全貌を明らかにする必要があるし、政治的な責任は免れなくなってきたようだ。今週から参議院の予算委員会をはじめ、総理の出席する中での審議の徹底と、とりあえず佐川元理財局長の証人喚問から、いかに財務省・官邸一体になって問題を隠ぺいしようとしていたのか、全貌を明らかにして欲しい。

最高権力者の疑惑究明には、国会の第三者調査委員会設置を

この問題について、立法府vs行政府という観点から考えると、立法府の国政調査権や審議に対する妨害を進めてきたわけで、そのことの刑事責任の問題だけでなく、それ以上に国の統治機構の信頼を失わせた責任は重大である。与野党越えた立法府として国政調査権を発動し、第三者による「森友学園土地売却公文書書き換え問題調査会」を発足させ、真相の解明と今後の再発防止に向けた改革案作りに向けて努力していくべきだ。特に、情報公開と公文書管理の在り方の改革がどうしても必要になるだけでなく、本来は検察の中にある特捜部が権力の犯罪を調査すべきなのだろう。現に、ロッキード事件などでは特捜部が力を発揮して総理大臣経験者を逮捕・起訴まで至ったことは記憶に新しい。ただ、今日では聖域と言われた検察の人事にまで政治が関与し始めており、とうてい政治権力から独立した捜査ができる条件を失っており、それだけに、国会での第三者中心にした調査委員会の設置が必要なのだと思う。

文科省の学校教育への露骨な干渉、前川前事務次官への嫌がらせか

この財務省の大問題が炎上している最中、文部科学省から新たな問題が出てきた。前川元文部科学省事務次官を呼んだ名古屋市の公立中学校での講演に対して、文科省が2回に亘ってなぜ前川氏を講師に呼んだのか、その経緯について「具体的かつ詳細にご教示ください」と要請していたメール記録が公開されたのだ。相手は名古屋市の教育委員会で、講演録か録音データの提供すら求めていた。このやり取りは、既に公表されているが、明らかに教育現場に対する公権力の介入であり、なぜ、こうした介入を進めたのか、政治家や官邸からの横やりがなかったのか、引き続き国会での追及を進めて行くべき大問題である。

前川氏は、森友問題と並んで大きな問題になっている加計学園の獣医学部の認可問題について、行政が捻じ曲げられたとする厳しい批判を展開されてきたし、今回の森友問題でも行政官僚がこうした公文書の書き換えを自ら進めることは考えにくい、と厳しく問題の所在について発言されてきた。つまり前川氏は、もはや誰も怖がることの無い立場になられたわけで、堂々と背後に潜む政権側の問題を指摘されており、それに対する嫌がらせも含めた妨害活動の一環として今回の介入問題があると見たのだが、どうだろうか。

当該中学校長先生、落ち着いた堂々たる記者会見に感心

今回の文部科学省の介入問題について、当の前川氏は17日付の神戸新聞の報道記事によると、「文科省がやりたくてやっているわけではない。やらせている人がいるのではないか」と背後にある政治の問題を指摘すると同時に、「自身の現役時代に今回のケースのように個別の学校の授業内容を調査したことは『ない』と言い切った」とのことだ。今回の問題の直接の当事者だった中学校の校長先生たちの記者会見は、前川さんが指摘されているように、なかなか落ち着いて堂々と反論していた姿が印象的であった。

まだまだ日本の社会は捨てたものではないのだ、と感ずることができた。

アメリカトランプ政権中枢幹部の辞任・解任ドミノに驚愕

国内の問題から海外に目を向けてみると、実に様々な問題が起きていることが解る。世界的な政治構造の地殻変動期にあたっていると見ていいのだろう。とりわけ、第二次世界大戦以降、米ソの冷戦を勝ち抜いてきた覇権国家アメリカの混迷ぶりが気になるところである。

前号でも指摘したように、コーンNEC委員長とティラーソン国務長官を解任したことに続き、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)もワシントンポストは辞職すると報道しており、トランプ政権の中枢を辞任の嵐が吹き荒れている。これからの対中国を意識した米中間の対立が激化することが予想されるだけでなく、同盟国と言えども容赦なく進められる危険性を秘めている事に注意すべきだ。既にトランプ大統領は、お隣の韓国に対しても、貿易赤字を理由にFTA交渉での譲歩がなければ在韓米軍の撤退もあり得る、と脅迫すら進めている。これから北朝鮮との首脳会談を進めようとする最中ですらこのような言動を振りまくわけで、とても正気の沙汰とは思えない。

ペンシルバニア下院補選でも勝てない共和党、中間選挙も敗北か

トランプ政権は、誰が見ても統治能力が疑われる状況にあり、前回大統領選挙でトランプが圧勝した共和党の強固な地盤であったペンシルバニア州でさえ、連邦下院議員補欠選挙が実施され民主党に敗れてしまった(もっとも、僅差により26日にならなければ勝敗は確定しないが、民主党側は勝利宣言へ)。これまでトランプを支持してきた共和党の牙城でも勝てなくなってきており、今秋の中間選挙で上下両院の共和党が敗北する可能性が高まりつつある。

このような状況で、自由と民主主義を進める世界のリーダーとしてのアメリカの存在感は弱まりつつある。アメリカ第一主義を前面に、自分のやりたい放題を貫き、秋の中間選挙に勝つためならどんなことでもやりかねない危険性を感ずる今日この頃である。日本の外交の基軸といわれる日米同盟の在り方が、問われるべき時に来ているのかもしれない。

台頭する中国、欧米に対抗するロシア、不安定なEUという現実

これに対して、経済大国としてGDPが世界第2位、購買力平価ベースで行けば、既にアメリカを上回ったとされる中国の動きが気になる。憲法改正して国家主席をこれまでの2期10年まで、という制限を撤廃した習近平政権の行方が気になるところである。経済が発展すれば民主化が進む、と考えていた者にとっては、中国の大国主義化と共に独裁化への動きの強まりに対して、危機感を抱かざるを得なくなりつつある。

さらに、ロシアのプーチン政権も18日の大統領選挙で圧勝することは確実で、その後のアメリカ・ヨーロッパの軍事同盟であるNATOへの対抗心を前面に出した動きを強めてくるだけに、戦後の国際秩序の激動期に入りつつあることを予感させてくれる。日本との外交の焦点である北方領土問題についても、日米安全保障条約の下での領土返還交渉が難航することは間違いなく、安倍政権の下での日ロ関係の進展には大きな壁が依然として立ちはだかっていると言えよう。

こうした中で、EUの盟主であるドイツでようやく4期目のメルケル政権が発足することに漕ぎ着けた。社民党の全党員投票による賛成というきわどい選択によって大連立が実現したわけだが、国会での首相選出の投票では、与党側からの造反者がかなり出ており、僅差での選出だったことが印象的である。これからのEUをどう立て直していけるのか、フランスとドイツの連携の行方が注目される。ドイツが一段落したと思ったら、今度はイタリアの選挙結果によつて政局が混迷し、イタリアの連立政権の行方も未だに定まっていない。米中露の繰り広げようとしている混迷する世界秩序の下で、EUと日本がきちんと提携して安定化のリーダーシップを取るべき時なのだが、事態は混迷しており、何ともやりきれない思いが募る今日この頃である。世界の民主主義の行方が問われているようだ。


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