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労福協 活動レポート

2019年12月9日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第124号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

「36計逃げるが勝ち」、桜を観る会スキャンダルは年明け持越しか

国会の方は、桜を観る会問題を追及したい野党側の40日間会期延長要求に対して、与党側は「36計逃げるが勝ち」とばかりに幕引きへと向かいつつある。安倍総理自身の政治資金規正法や公職選挙法がらみの問題だけでなく、公文書の管理や招待客のなかの「ブラック」な方たちの問題など、次から次へとスキャンダルが拡大し始めている。それだけに、早く閉じて、総額28兆円にもなんなんとする大型補正予算と、来年度予算編成の策定作業へとまい進するに違いない。

国会冒頭解散の可能性、更なる疑惑が出てくるかどうか??!!

ここで気になるのが、衆議院の解散の時期である。予算案の審議に入れば、再び「桜を観る会」関連の国会での予算委員会が始まる。事は総理大臣のスキャンダルに直結するだけに、1対1の論戦に堪えうるのか、まことに疑わしくなる。それならば、国会の審議に入らずに衆議院の解散・総選挙へと突入し、国民の信を問う形で勝利し、何とかかわしていきたいと思ったとしても不思議ではない。国会冒頭解散という、なんとも総理大臣の身勝手な解散権行使が気になる。そうなるのかどうか、桜を観る会関連のスキャンダルが、これから年末・年始にかけて更なる疑惑を発掘できるかどうかにかかっているのかもしれない。

枝野立憲代表の「野党合流論」、いつかどこかで見た景色だが!!!
国民は民主党政権を経験している、そのイメージを転換できるか

まさかの冒頭解散を見越しているのだろうか、先週末、立憲民主党枝野代表が国民民主党や衆院会派「社会保障を立て直す会」・社会民主党という統一会派を組んでいる野党各党に合流論を提起している。国民民主党の玉木代表や社民党の又市党首も重く受け止めたいと述べ、成り行き如何によれば、再び新党による野党結集へと向かい始めて行く流れができ始めている。いつも、このような流れを作る小沢一郎氏は既に国民民主党に合流しており、こうした動きの背後にチラチラと見え隠れしている。何だかどこかで見た景色だぞ、という感じがするわけだが、2007年の参議院選挙後から2009年の総選挙での政権交代劇への動きの再現を狙っているのだろう。

だが、有権者はその政権交代による民主党政権運営の経験を積んでいるわけで、同じようなメンバーで、同じような演出では政権交代にまで向けた支持を高めるとは思えない。何よりも、新しいリーダーによる「大きな物語」を打ち出さない限り、総理や自民党側の大失態でもないなかでの野党側「勝利」は難しいと思う。それとも、次に述べる山本太郎代表率いる「れいわ新選組」や共産党とまで大連合ができると考えての組み立てなのだろうか。

れいわ新選組の山本太郎代表、あたらしい物語を作れるかどうか

一方、問題は新しいリーダーとして脚光を浴び始めているのが、「れいわ新選組」の山本太郎代表である。最新のマスコミ調査による支持率は2,5%程度だが山本代表のカリスマ性が一気に高まり、ニューズウイーク誌や週刊金曜日は「山本太郎」特集版を作成するに至っている。と同時に、経済政策において、「消費税の廃止」を視野に、次の衆議院選挙での野党統一の共通目標として「消費税率5%への削減」を打ち出している。既に、共産党とは合意しており、立憲民主党や国民民主党など既成の野党政治家の中には、馬淵元国交大臣と共同で進めている消費税5%への引き下げの研究会への参加する議員も出始めている。次の総選挙では、野党共闘の要の存在として浮かび上がってきている事は間違いない。なにせ、5%への引き下げでなければ独自の候補を擁立する、とまで息巻いているわけだ。なかなか鼻息は荒い。

野党が一本化出るかどうか、極めて危うい構造を強固に出来るのか

さらに、私自身感ずる肌感覚で言えば、できれば消費税の引き下げが選挙で主張できれば自民党に対抗できると考えている政治家が大部分だと思う。それだけに山本代表の主張する経済政策は、これまで与党と野党の分水嶺としてきた安全保障や憲法観から、消費税の是非という選択肢を前面に提起してきたことに注目すべきだろう。その際、2012~13年にかけて民主党に所属し、社会保障・税一体改革を推進してきた時に推進してきたリーダーだった人たち(野田元総理、岡田元外務大臣、枝野元官房長官ら)は、どのような態度を取るのか、注目せざるを得ない。野党が一本化できるかどうか、極めて危うい構造の上にあるのだが、一本化された時、国民がどうそれを判断するのかがカギになろう。

「日刊スポーツ」によれば、れいわの山本代表は、12月7日神奈川県の横須賀市での対話集会で、枝野代表が統一会派を組む野党に合流論を呼びかけたことに対して「その方が政権交代につながりやすいと思うが、かたまりになったから勝てるとは分からない。そこにはセクシーな経済政策が必要ではないか」と発言したようだ。ちなみに、「れいわ新選組」には「合流」の呼びかけは無い。問われているのは経済「政策」なのだ。

MMT(現代金融理論)による経済政策論をどう考えるべきか

私自身は到底支持することは出来ないのだが、不足する財源は「国債発行」で賄えばよい、という考え方を取っており、経済学者の中にはそういう政策の背景として「MMT」理論を擁護する方たちが出始めている。なかには、間宮陽介京都大学名誉教授など、これまでケインズ経済学の伝統を継承されていたと思われる方までこのMMT理論の批判側には回っておられない事もやや驚きである。私自身も、もう一度「MMT理論」をしっかりと向き合って、きちんとした理論的立場を明確にしたいと考え始めている。もちろん、基本的にはこうした考え方に与することは出来ない事は言うまでもない。

日経新聞の魅力、フィナンシャル・タイムズ紙のオピニオン記事

日本経済新聞を購読していて経済関係の日々の出来事に関する記事もさることながら、一番興味をそそられるのがオピニオン欄やコラム欄の記事だろう。かつては「一目均衡」というコラムをよく読んでいたのだが、最近のこのコラム記事にはほとんど興味が湧かず目を通していない。筆者によって、市場に対する捉え方が異なり、私の信頼していた記者は既にリタイアされてしまっている。何よりもフィナンシャル・タイムズ紙のコラムが掲載されているオピニオン欄には、必ず目を通すようにしている。

コメンテーターとして、マーチン・ウルフ氏と並んでラナ・フォルーハー女史の書かれたものは興味深いものが多い。12月6日付の「分断時代の米国家戦略」についても、米中経済戦争とでもいうべき対立する中で、1年前には米中のデカップリングが進むと見ていたのは一部の反主流派だけだったのに、最近は民主党大統領候補の指名争いをするウォーレン上院議員や共和党のルビオ上院議員なども主張するなど、すっかり主流派の考え方になったと指摘する。また、米外交問題評議会(CFR)という新自由主義経済思想の中心的存在なのだが、米国にはしっかりとした国の産業政策が必要だと思想転換したとまで見ている。

アメリカ政府の産業政策重視、それには大きな政府が必要だが?!

では、政府が産業政策を大きく転換させていくためには、どうすればよいのか、フォルーハー女史は政府と民間部門とが如何にかけ離れているのか、次のように問題を指摘している。

「アップルやアルファベット、フェイスブックがタックスヘイブン(租税回避地)の利用をやめたり、自国に還流させた利益を自社株買い以外に投じたりするだろうか。あるいは米IT各社や米金融各社が、自分が希望する仕事に就けていないと感じている何百万人ものミレニアル世代をボランティアで再教育するだろうか。我々は過去40年、供給側の論理でしか考えてこなかった(これが多国籍企業を潤わせてきた)が、どうしたら地方経済や労働者にもっとプラスになるよう転換できるのか。これら大きな問題の解決策はまだみつかっていない。

確かに公的部門と民間部門を特定の分野で結びつける投資をしてきた企業や業界団体はある。(中略)。

だが、勝者総取りの力学が加速しているようにみえる今のデジタル時代に、米国が中国のような国家主導の経済と競争していくには、公共部門がもっと大きな役割を果たすことが不可欠になる。その達成には、民間部門が生み出す富を政府がもっと吸い上げ、活用するための税制改正も必要になる。

企業にとっては聞きたくない展開だが、増税と大きな政府はデカップリングと同様、今後、確実にやってくる。」

かつて第二次世界大戦にアメリカが参戦する前、大恐慌からの脱出に向け、ルーズベルト大統領の下でケインズ政策の実践として再分配政策を強化し、インフラ整備と共にアメリカの社会保障や教育水準を向上させたことがある。いま中国の台頭を前に、アメリカは再び国家的な力を向上させていくべく「大きな政府」への大転換が迫られているのだろうか。フォルーハー女史は、大転換が必要になってきている事を指摘してのだが、果たしてそれが実現できるだけの政治的なリーダーや、それを支える理論的グループが存在するのだろうか。大いに注目していきたいものだ。

余りに経営者天国になり過ぎたアメリカ、変わることは出来るのか

この日の日経紙には、フィナンシャル・タイムズ紙のニューズレター「モラル・マネー」12月4日号の記事が掲載され、2020年1月開催のダボス会議に向けて、WEFの創設者兼会長のクラウス・シュワブ氏が、新たな宣言を公開し、そのなかで「企業の目的とは、幅広く共有される、持続可能な価値の創出に株主を組み込むことだ」と訴える。新ダボス宣言の中で参加者の最も注目を集めるのは「経営者の報酬はステークホルダーに対する責任を反映したものにすべきだ」という一文かも知れないとして、現時点で経営トップの高額報酬の問題が手つかずのまま放置されている事を指摘している。中国との経済「戦争」とでもいうべき状況を前に、政府が総力を挙げて行かなければならない時、ダボス会議に出席する経営トップ層の人達が、この問題にどう答えて行けるのか注目すべき点だろう。


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