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労福協 活動レポート

2020年3月2日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第135号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

米大統予備選挙、バイデン氏が初勝利へ、弾みがつくかどうか

アメリカ大統領選挙の民主党予備選挙の方は、今週3日のスーパーチューズデーを前にしてサウスカロライナ州での投開票が29日に行われ、本命と言われてきた中道派のバイデン氏がようやく勝利が確実になったようだ。これまでの3州でトップが2回と他の候補を大きくリードしてきたサンダース氏は、2位に迫ったと報道されている。まだ最終得票数は確定していないが、事前の世論調査ではバイデン氏が39,7%、サンダース氏が24,3%と続いていると報じられている。サウスカロライナ州では民主党の支持層の6割が黒人だといわれ、黒人出身のオバマ大統領時代に副大統領を務めたバイデン氏に予想通りの支持が集まったようで、バイデン氏は今後3日のスーパーチューズデー以降の選挙戦でも、本命候補の一人として闘う立場を得たようだ。とはいえ、これからの得票の伸びがどうなるのか、未だ本命とは必ずしも言えなくなっている事は間違いない。

一方、2位につけたサンダース氏は78歳という高齢ではあるが、バイデン氏も77歳であり、前回の予備選挙から立候補し本格的な活動を開始したブルームバーグ元ニューヨーク市長も78歳というわけで、日本で言えば後期高齢者で運転免許証を返還する事を進められる年齢である。ちなみに、元ニューヨーク市長で大富豪のブルームバーグ氏は、3日のスーパーチューズデーからの参戦となり、サンダースに対抗できると思われていたバイデン氏が予想外の苦戦を強いられた中で、どこまで支持を伸ばせるのか注目が集まっている。

サンダース候補が本命に、追うのはブルームバークかバイデンか

はたして、このままサンダース氏が民主党大統領候補となるのかどうか、民主社会主義者を名乗る大統領候補の出現にとなれば、ヨーロッパならいざ知らず、世界の覇権国家アメリカで候補者になること自体が、いかにアメリカ国民の間に貧富の格差が拡大し、特に奨学ローンで苦しめられる若者の中でのサンダース支持の熱狂的な運動が広がっている事に注目すべきだろう。サンダース氏の選挙運動は100万人単位の若者中心のボランティアによって担うべく展開されており、選挙資金も22万人の献金者によって総額600万ドルに達したとされている。一人平均27ドルで日本円換算して約3,000円なのだそうだ。文字通り草の根選挙を熱く広く実践している事がうかがわれる。

サンダース対ブルームバークでは「社会主義者対億万長者」の闘い

サンダースに対抗すべく遅れて立候補したブルームバーグ氏が、億万長者であることも気になるところである。それだけ、民主党という政党の内部において、大統領予備選挙での闘いがし烈になるだけでなく、大統領候補者になったとしても、民主党が一致結束してトランプに対抗して闘えるのかどうか、それこそが一番の問題なのだろう。万が一サンダース氏とブルームバーグ氏が候補者争いを演じるとすれば、「社会主義者vs億万長者」という構図になるわけで、今のアメリカ資本主義の置かれている姿をよく現わしているのかもしれない。

サンダース氏が大統領選挙での民主党の候補者となった場合、果たしてトランプ氏に対抗できるかどうか、民主党の主要なメンバーには疑問を持つ人たちが多いようだが、このままの勢いが継続すれば、候補者の本命候補として躍り出ることになる。否、既に本命候補となっていると見て良いのだろう。もし当選して大統領に選出という事になれば、貧富の格差を解消し、国民皆保険制度を導入する事になり、それこそ巨額の財源が必要な大改革が始まるわけで、上下両院の連邦議会がハチの巣をつついたような大騒ぎになるに違いない。先ずは民主党の内部での合意が取り付けられるのかどうか、さらに政治的な実現可能性への確かな回答が求められることはまちがいない。

ただ、私自身はひそかにそうなることを望んでいるのだが、サンダース氏を取り巻く環境はますます厳しくなるに違いない。その包囲網を打ち破り、トランプとの一騎打ちに持って行けるように若者だけでなく様々なマイノリティはもちろん、多くの反トランプを願う人達の大結集を望みたいものだ。今年9月には79歳になるサンダース氏にとって、昨年心臓の手術をしたこともあり、健康だけは十分に留意して最後まで戦い抜いて欲しい。おそらく大統領に挑戦できる最後のチャンスなのだろう、老年パワーを全開させて、トランプの出鱈目な政治を辞めさせてほしいと願っている人は多いはずだ。

アメリカ株式市場大暴落、コロナショックがバブル崩壊の引き金か

ときあたかも新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、アメリカニューヨークの株式市場は大きく暴落し続けている。あの12年前のリーマンショック時に匹敵する暴落であり、1週間の下落率ではベスト7位を記録している。しかも、この株価の下落は決して一過性の物ではなさそうだ。株価が上昇している背景には、金融緩和によるだぶついた金融環境の下で、企業経営者が社債を発行して外部資金調達をするのだが、投資に回さず自社株購入に回して株価を引き上げ、自分たち経営者のストックオプション行使によって暴利をむさぼり続けている。会社は株主の物であり、株主に対して利益を配当や株価上昇で応えるのが経営者の責任だ、というフリードマン流の経営論を大義名分に使いながら、せっせと株価上昇に取り組んできたわけだ。

こうした動きに対して、アメリカの経営者団体である「ビジネス・ラウンドテーブル」に結集した心ある大企業経営者181名は、昨年8月に出した企業目的に関する声明をだし「あらゆる人々に資する経済を促進することである」と高らかに宣言するに至っている。だが、残念ながら圧倒的に多くの企業経営者達は、依然として株主の利益と称して暴利をむさぼり続けている。

今週の世界の株式市場の動向や如何?! 先ずは東京市場に注目

実に常軌を逸している株式市場だったわけで、その株価の上昇による利益が富裕層は潤ったものの、トリクルダウン効果を通じて多くの国民の生活の向上には繋がっていない事は言うまでもない。それが、今回の新型コロナウイルスのパンデミックによって株価の異常さに気が付き、暴落をし始めたと見られないだろうか。通常であれば、株価が大幅に下落したとしても、買い戻しが入って元に戻るのが普通なのだが、今回は先週一杯連続して下がり続けて週末を終えており、今週のニューヨークダウの動きに注目したい。もっとも、その前の東京市場の方が早く市場が空くわけで、先週末のニューヨークが下がり続けているだけに、フラッシュ相場となって低下し続けるのだろう。

資本主義の大転換期を知らせた「新型コロナウイルス」の蔓延

こうした世界的なバブルの崩壊が起き始めて行けば、政治的に大きな影響が出始めるわけで、アメリカの大統領選挙においても、貧富の格差を拡大し続けてきた80年代以降の新自由主義に立脚する経済政策を、根本的に見直していく政治勢力が大きく台頭していくきっかけになって欲しいものだ。その点は、環境問題でも脱炭素社会に向けた様々な動きが彼広がり始めたように、資本主義のあり方についても大転換期に差し掛かっていると見て間違いない。バブルの崩壊からバーストへ、さらにそこからまたバブルへと続く悪循環を断ち切る経済政策こそ、今求められているのだと思う。

れいわ新撰組の衆議院候補者選定が進む、焦り始めた立憲民主党??

翻って日本の政治の動きを見てみると、立憲民主党の提唱による野党の合流話が頓挫し、社民党党首には福島瑞穂参議院議員が返り咲いたが、福島党首は合流には消極的だといわれており、枝野代表の提案は今のところ完全に空中分解寸前となっている。れいわ新撰組(以下「れいわ」と略す)の山本太郎代表の方は、全国行脚に力を入れており、並行して衆議院の選挙区で立候補者の選定作業が進み始めている。立憲民主党の選対委員長の長妻昭衆議院議員は、「れいわ」との話し合いを求めたようだが、山本代表側からはほとんど相手にされていないようだ。

「れいわ」の方は「消費税5%への引き下げ」を選挙協力の大前提にしているわけで、この前提となっている財源問題についての合意に向けた正面からの話し合いがなければ、ほとんど相手にされないのは当然の事だろう。ここで、問題になるのが背景となっている「MMT」理論の存在であり、それに対して果たして立憲民主党内で合意が取り付けられるのかどうか、問われるに違いない。消費税の5%への引き下げは、生活に苦しむ一般的有権者にとっては美味しい話であり、選挙に勝たなければならない政治家にとっては実に魅力的な話なのだ。これから半年ぐらいは、新型コロナウイルスによる経済の落ち込みは確実に押し寄せるわけで、直近の経済統計によれば、昨年10~12月の経済成長率が年率6,3%もマイナスとなった事に続いて、更なる経済の落ち込みの中で、消費税率を10%から5%への引き下げという美味しい話が広がる余地は十分にあると見ていい。

「消費税5%引き下げ」という禁断の木の実に飛びつくかどうか?!

野党側が、はたしてこの「禁断の木の実」である「消費税率の5%への引き下げ」にどう対処していけるのか、最大の関心事だと言えよう。

さてら本の政治は、これから参議院へと論戦の場は移っていくわけだが、桜を見る会や法務省高検検事長の定年延長問題もあるのだろうが、野党側が全力を挙げて取り組まなければならないのが、次の衆議院選挙に向けた選挙協力問題である。どう事態を打開できるのかどうか、解散・総選挙の時期が近づきはじめれば落ち着いた議論はできにくくなるだけに、時間はあるようでいてあまり残されていない。


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