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労福協 活動レポート

2021年11月8日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第217号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

自民党が261議席で絶対安定多数確保とは、立憲の惨敗

総選挙の結果が出て、マスコミ関係の出口調査や世論調査による予測が今回だけはほとんどあてにならなくなってしまっている。自民党が233議席という単独過半数を確保できるかどうか、などと報じられていたにもかかわらず、何と絶対安定多数である261議席を確保できたのには唖然とさせられた。対照的に、野党第1党である立憲民主党は解散時の現有議席110をどれだけ上回れるのかが焦点と言われていて、140議席程度までは獲得できるのではないか、と思われていた。結果は現有議席を大きく下回り96議席しか獲得できず、2日の立憲民主党の会合で枝野代表は責任を取って辞任することを表明し、次の代表選挙に向けての動きが始まろうとしている。それにしても、代表辞任後の新代表選出手続き感度の鈍さには、もっと何とかならないのかと言いたくなる。大袈裟のようだが、この党をどう立て直せるのか、私には日本の民主主義の行方がかかっていると思えてならない。1強多弱が何をもたらしているのか、日本の衰退であり若者の未来への絶望ではないか。

世論調査は何故予想を間違えたか、静岡参院補欠選のバイアスも?

それにしても、なぜこのような結果を予想できなかったのであろうか。投票率が55%台で史上3番目に低かったこともあるのかもしれない。また、高齢化が進展する日本社会の状況に対応できているのかどうか、調査方法にも問題があるとの専門家の指摘もある。いずれにせよ多くの選挙に関わった人たちにとって、今回の結果は予想できなかったことだけは確かだろう。特に、1週間前の静岡参議院議員補欠選挙での野党側候補が、自民党や共産党候補を破っての勝利だっただけに、31日の総選挙の結果も自民党に対する厳しい批判が出てくるものと考えたのかもしれない。私なども、96議席という数字を翌朝になって知るにつけ、まさかこんなはずではなかったのでは、という思いが第一印象だった。

もっとも、静岡参議院補選の当選者は国民民主党に所属したようで、むしろ参議院議員を辞めてまで知事選挙に立候補した自民党に対して、県民からの支持率の高い川勝知事の応援が絶大な力を発揮した結果のようだ。

小選挙区の野党候補統一は間違いではない、立憲民主党自体に問題

全国的にみて、小選挙区では野党の統一した効果が出ていたのは確かであり、甘利幹事長や石原元幹事長などを破った事にも表れていたが、比例区でのマイナスが大きく影響したことが問題となったわけだ。なぜ、立憲は比例区での議席が伸びなかったのか。選挙前までの世論調査で、菅内閣の支持率の低下はあれども、自民党の支持率はあまり低下せず、むしろ立憲の支持率の停滞が顕著に出ていたことは確かである。小選挙区制度で勝利するためには野党候補者の一本化が必要であり、それをまさしく200以上の選挙区で実践したわけだが、共産党や社民党、れいわ新選組といった左翼ブロックでの選挙協力であったことによる広がりに欠けたという指摘もあるのだろう。だが、それだけが立憲が比例区での敗北の要因とは思えないわけで、引き続きこの点についての原因究明が不可欠であろう。

民主党政権時代のリーダーイメージと無責任な公約に問題を感ずる

私自身は、枝野代表や福山幹事長が民主党政権の時代の官房長官・副長官だったことによるマイナスイメージが払拭できなかったのではないかと思うし、選挙での公約の中での消費税率の5%への引き下げや1.000万円までの所得税を取らないという、およそまともな政党であれば考えられないような無責任極まりない公約が、民主党政権時代の財源問題というアキレス腱を再び想起させたのではないかと思えてならない。その意味で、枝野代表が辞任するに至ったことは、立憲民主党がもう一度政権交代を目指すためには避けられないことであり、当然のことだと考えている。前回の民進党が希望の党へと合流する時、あえて「立憲民主党」の旗を立てて今日まで野党第1党にまで進めてきた努力は認めつつも、これ以上代表を続けることはやるべきではないし、潮時なのだと思う。

小川淳也氏の立候補に向けた動き、党内での支援の動きはあるのか

では、次の代表は誰になるのだろうか。どんな政党に変えていけるのだろうか。女性の政治家の中で、辻元清美副代表が大阪10区禰寝旋風に巻き込まれ落選してしまったことが惜しまれる。こういう厳しい状況の中で、声を上げて初めているのが小川淳也氏であり、20名の推薦人の確保ができれば代表選に立候補したいと発言している。期待の政治家であり、小川淳也氏を取り上げた映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」まで作られ、総選挙の対立候補からも公選法違反ではないか、と言われるほど知名度が向上していることは確かである。私自身も、昨年一度議員会館で税や社会保障などを中心にしていろいろとディスカッションさせていただいたこともあり、大いに期待できるニューリーダーになるべき一人の候補者であると感じたのだ。何よりも、今回の難局に際して、立候補の決意を第1番目に公言するだけの自信と胆力もついたのだろう。今後の立憲民主党内での小川淳也氏を中心とした動きが出来上がるのかどうか、多いに注目していきたい。

小川淳也氏と五百旗頭薫教授との『週刊東洋経済』対談記事に注目

小川淳也氏は、実にタイミングよく、今週号の『週刊東洋経済』誌において、五百旗頭薫東大教授との対談を4ページに亘って展開されている。題して「『持続可能な国』造る政治を」で、「自民党の長期政権が続く中、野党こそ『負担増』を説くべきだ」と副題がつけてある。この中で小川淳也氏の考え方が述べられており、具体的に3点を挙げて立憲民主党を政権政党へと認められるようにしたいと述べている。

第一に、「無私・無欲の姿勢」であり、権力の私物化に厳しい態度をとると宣言し、
第二に、「やはり政権(民主党政権のこと、峰崎)時代の真摯な反省と総括」すべきと述べ、
第三として政策、「人口減、低成長、財政悪化、気候変動といった歴史上経験したことのない構造問題に日本や世界は直面している」わけで、「体系だった全体像を国民に示す必要がある」ことを強調。この3点が揃わないと政権政党として立憲民主党が再び認められることは難しい、と述べている。

全面的に賛成であり、こういう考え方を基に立憲民主党の改革をリーダーとなって進めて欲しいと思う。時に、こうした改革を進める時には、小川淳也氏の周りに「人材の結集が必要なのではないかと思う。どれだけの人材が結集できるのか、どれだけの時間軸でそれらを束ねることができるのか、リーダーとなっていくために必要な課題が目の前に山積しているのではないかと思う。20名の推薦人を集めて立候補を進めたいという発言を聞いたとき、「小川淳也さん、今頃そういうことを主張しているのでは、代表選に出るには、まだまだやらなければならないことがあるのではないですか」と率直に言わせてほしい。

立憲民主党のブランドイメージ確立のため、代表周りに人材結集を

立憲民主党内部の仲間の政治家だけではない。先ほどの政策の問題を提言できるためには、学者や専門家の方達をどれだけ幅広く結集できるのか。かつての香川選出の同郷の大平総理は、周りに素晴らしい人材を集めて「総合安全保障戦略」「環太平洋経済圏構想」「田園都市構想」「日本型福祉社会」など、今でも読み返したいようなレベルの高い政策の基礎を創られていたことを思い出す。

おそらく、この対談のお相手の五百旗頭薫教授が「政党のブランド力」を磨くことを提言されているのも、リーダーとして日本の政治を牽引していけるには、相当の時間をかけて「ブランド力」を磨いて欲しい、とおっしゃっているのかもしれない。今回、代表選挙に出馬されることには反対はしないものの、もう少し中長期的な視点に立って準備されることもありではないか、と思えてならない。もしかすると、代表選挙に立候補することによって、そうしたことが求められていることをよく理解する第一歩になるのかもしれない。後は、本人の自覚なのだろう。それと同時に一番肝心な点である民主党政権時代の何が問題だったのか、是非とも明確にしてほしいと思う。それこそが、国民にとって一番知りたいことなのかもしれない。

いろいろあるが、総理大臣を目指して頑張ってほしい。


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