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労福協 活動レポート

2022年10月3日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第261号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

岸田政権の存亡が懸かる臨時国会始まる、旧統一教会、国葬儀、オリンピック汚職、それに物価高という難問山積

いよいよ3日から臨時国会が開会される。参議院選挙で勝利し「黄金の3年間」を手に入れたと思われた岸田政権だったが、突然襲った安倍元総理に対する銃殺という痛ましい事件により、長年続いてきた旧統一教会と自民党(主として清話会=安倍派)との癒着が大きく政局を揺さぶりつつある。さらに安倍元総理の国葬を国会に諮ることなく強引に実施したこともあり、国民の岸田内閣に対する支持率はどのマスコミによる世論調査を見ても激減し自民党支持率も下落するなど、岸田内閣が危険水域に突入しつつあるとすら喧伝され始めている。

27日に賛否両論がある中で強行実施された国葬においても、岸田総理の弔辞よりも友人代表菅前総理の方が参加者の心を揺さぶり、これから先の臨時国会での動き如何では何らかの波乱が起きないとも限らないわけで、12月までの約2か月間の国会会期中の動きに岸田政権の命運がかかり始めていると言っても過言ではあるまい。さらに、いまだに捜査が続いている東京オリンピックに絡んだ汚職事件の全容が見えてきていない。株式会社電通出身の高橋理事についての捜査が進展しているわけだが、もっと大きな問題となりそうな竹田元JOC会長や森元総理に対する疑惑の疑いであり、安倍元総理という重しの取れた検察当局による捜査の手が森元総理(安倍派に所属)にまで伸びるかどうか、政局にまで影響する大きな分かれ目になるに違いない。

無駄な為替介入のお粗末さ、やったふりの経済対策に終始するのか

こうした支持率低下に悩む中で一番岸田総理が力を入れようとしているのが経済政策であり、とりわけ国民生活を圧迫しつつある物価対策に力を入れるべく、9月30日の閣議で10月中に取りまとめる予定の総合経済対策として30兆円を超す大型経済対策を打ちだそうとしている。ただ、世界の先進国がインフレ対策として金利の引き上げに突き進んでいるのに、日本だけが依然として長期金利すら0%に据え置くイールドカーブコントロールの下に押し込められ、円とドルの金利差が3%以上に拡大したことを受け、対ドルでの円安基調が継続している。

政府が9月22日に実施したドル売り円安介入は、2兆8000億円に達したと報ぜられているが、介入直後には1ドル140円まで戻したものの、最近では再び144円台にまで戻されており、ほとんど介入の効果はみられていない。カネはそれを生み出す利率が高い方に流れるわけで、これを政策的に抑え込むことは相手国の理解と協力無くして困難であることは自明のことだ。貴重な外貨を無駄に消尽させ、やったふりをして政策の誤りを糊塗する岸田流のお粗末さに対して、国会での追及を強めていくべきだろう。

アベノミクスからの脱却を提案してこられたエコノミスト中前代表

こうした日本経済の円安問題について、前回は斎藤誠名古屋大学教授の日経新聞「経済教室」の論文を取り上げて、日本経済の実力が大きく低下している事実を指摘されていることに言及した。今回は、私が未だ議員時代に同僚であった故仙谷由人官房長官らと一緒に勉強会を立ち上げ、毎回講師としてお世話になった民間エコノミスト中前忠中前国際経済研究所代表の見解を取り上げてみたい。

これからのグローバルな課題はインフレ対策から景気浮揚対策へ、アメリカ中間選挙の行方が重要

中前氏は、日本経済新聞の夕刊コラム「十字路」を年10回程度執筆され、直近では9月29日「インフレ対策から景気対策へ」と題して短い文章ではあるが、何時も問題の焦点を明確に捉えておられ大いに参考にしてきた。特に、今回のコラムではアメリカのインフレをもたらした主要な要因である財政刺激策(コロナ対策としてのトランプ・バイデン政権下の3回にわたる巨額の財政支出)が無くなったことを挙げ、石油価格にみられるように物のインフレが急激に価格下落へと転化し始め、FRBによる金融引き締めは、資産価格の押し下げ効果を発揮し金融システムに大きな低下圧力を加えていることを指摘。今後の課題はインフレ抑制策から景気対策に向かうはずで、そのためには今年秋の中間選挙での民主党が議会での過半数の確保が政治的に不可欠となり、そうでなければ財政支出による景気拡大政策採用が共和党の反対で困難となる。それは、やがて日本経済をはじめ世界に悪影響を与えるわけで、アメリカの政策動向如何がグローバルな課題となっていることを指摘されている。

ゼロ金利政策からの脱却で市場規律回復、新陳代謝、生産性向上へ

中前代表はやや1年前の昨年11月18日の「十字路」で、「経済政策、逆方向に転換を」と題してアベノミクスから岸田新政権の経済政策の在り方についての提言を述べておられる。その冒頭で、次のように指摘されている。

「日本経済が長期低迷から脱却できないのは、経済政策が間違ってきたからである。超金融緩和、財政赤字の拡大、円安の三大失政だ。人口減少、少子高齢化といった内的要因に加えて、米中二大国の経済までも長期低迷に向かおうとしている中では、この三政策の方向は逆でなければならない」

まさに、アベノミクスと言われてきた政策に対して真っ向から批判を展開されたと言えよう。とりわけ、「ゼロ金利政策からの脱却によってはじめて市場経済の規律が働き、産業間、企業間の新陳代謝が復活し、生産性が上昇してくる」わけで、ゼロ金利と量的緩和で財政規律を失ったままでは、日本経済の窮乏化は世界経済の減速の下で一段と進まざるを得ないとも述べておられる。

中前代表、特に日本の貿易収支悪化が進んだ空洞化の問題指摘へ

特に、中前氏は過去30年間で日本の貿易収支が黒字から赤字へと大転換したことの影響を重く見ておられる。1990年代に10年間で110兆円の黒字だったものが、2000年代は81兆円へと微減、2010年代は26兆円の赤字、2020年代に入って赤字の規模がますます大きくなってきていることを指摘される。この結果は、1985年のプラザ合意による円高に際し、主として中国へと資本進出し国内経済の空洞化がもたらしたものであると分析されている。同じ傾向はWTOに中国が加盟後のアメリカなどにおいても2000年代に空洞化し始めている。今後アメリカや先進国が中国との関係で政治的・軍事的に悪化していく時、日本がどう友好的に介在できるのか、大きな課題を抱えているとのことだ。(この点については、今年の8月18日の中前氏の講演記録『世界経済の見通し~インフレから貿易収支へ』から要約)

新しい資本主義というスローガンを提示されてきた岸田政権に対して、一刻も早くアベノミクスからの脱却を説いておられるわけで、今後の経済政策の大転換無くして岸田政権の浮上もないようだ。


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