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労福協 活動レポート

2024年3月11日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第332号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

自民党員ですら見放し始めた岸田政権、「政治とカネ」だけでない人材劣化も

国会は参議院での予算審議が始まり、国民の政治不信を招いている派閥パーティ券裏金疑惑に引き続いて焦点が当たっている。衆議院で実施された「政倫審」も参議院で今週中に実施されることが決まり、さらに衆議院でも再び政倫審が開催されることになりそうだ。しかも新たに茂木幹事長の政治資金会計の透明度が低い問題にも火が付き始めており、どうやってこの政治とカネの問題の着地点が見通せるのか、いまだに不透明である。

当然のことながら岸田内閣の支持率低下も継続中だし、政党支持率でも自民党支持が大きく低下していることは間違いない。それだけでなく、密かに調査された「自民党員だけの意識調査(1月23日実施)」では、3分の1近くが自民支持ではなくなったとの結果が出ていると、経産省OB古賀茂明氏が『週刊エコノミスト』(3月12日号)の「闘論席」で明らかにしている。

さらに、3月8日の国際女性デー翌日の毎日新聞や産経新聞報道において、自民党和歌山県連主管の関西地区青年部パーティ(昨年11月実施し国会議員や県会議員など約30名出席)で、女性ダンサーに対する「いかがわしい」行為疑惑などが発覚し、自民党の青年局長や局長代理らが責任を取って役職を辞任する事となったとのこと。

自民党は一体どうなっているのだと国民からの反発は収まるどころか、支持率低下に一層拍車をかけている。2012年末の総選挙で大量に当選した4期生以下の衆議院議員の質の低下が顕著で、政権政党としての劣化が進んでいるのだろうか。

野田元総理の国会質疑を取り上げた朝日新聞「政治Plus+」欄

国会論戦でも岸田総理の答弁について、この「通信」先週号で触れた野田佳彦元総理と岸田総理との予算委員会と「政倫審」でのやり取りが、朝日新聞の「政治Plus+」欄で斎藤太郎記者の「言葉は発すれど中身なし『岸田論法』が決壊した質疑とは」と題して3月9日付朝刊で詳述されていた。野田元総理が、それこそ執拗に何度も問題をわかりやすく問いただしていくうちに、岸田総理がはぐらかすことができなくなって微妙に答弁が変わった事を指摘。質問していく側の努力如何で、岸田総理の「本当にわかりづらい答弁」の本音を引き出すことが可能であり、さらに追及していくよう求めている。

その通りなのだと思うが、それだけ質問時間に余裕があればよいのだが、テレビ入りの質問時間は与党側も質問に立ち時間との戦いにもなるだけに、答弁する総理の側の「へなまづるさ」を変えさせていくのは並たいていではない。国民からの支持が落ち込んでいることを本当に反省していくには、岸田総理のこうした答弁対応の改革からも始めるべきだと思う。

五百旗頭真神戸大学名誉教授の死、能登半島地震への「遺言」か?

国会での論戦と言えば、能登半島地震での集中審議なども進められている。そうした時、突然3月6日に亡くなられた五百旗頭真ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長が、死の直前2月21日に毎日新聞のインタビューが実施され、3月2日の朝刊で「五百旗頭真氏がみる能登半島地震の対応『自衛隊の初動に手抜かり』」という貴重な記事が残されている。まるで「遺言」として今の政権にモノ申しておられるかのようだ。さすがに、阪神淡路大震災を自ら経験され、東日本大震災での対策にも政府責任者として関わってこられ、防衛大学校の校長も歴任されていただけに、次のように述べておられる。

「自衛隊の初動は今回、手抜かりがあったとみている。陸上自衛隊の全ての駐屯地に『ファスト・フォース』と呼ばれる初動部隊がある。24時間代わる代わる待機し、大きな災害があったらすぐに出動する部隊だ。(中略) 道路が寸断され陸路から行けないと分かったら、すぐに海と空から救助に向かうことを決断しなければならなかった。ただ、海底が隆起して海から上陸することも難しかった。(中略) 空からの救助にすぐ切り替えなければならないのに、それができなかったのは非常に遺憾だ」と厳しく指摘。

被災地復興に向けて、熱い思いを語っておられた五百旗頭名誉教授

さらに、東日本大震災の被災地の復興の過程を見て、街づくりで能登に生かせることを聞かれた五百旗頭氏は、
「成功した地域では、住民の自発性があり、相談しながらまちをつくっていった。(中略)首長の強いリーダーシップのお仕着せではなく、住民の合意が得られるよう行政は財源や事業の進め方などの情報を提供すべきだ。能登でも話し合いは早く始めた方がいい」と述べておられた。

惜しむらくは、この貴重な経験と学識を有する五百旗頭氏の知識と言葉を、政府や国会がきちんと生かしていける場を用意していたらと思うばかりである。それにしても、80歳という年齢での突然の死去に、1歳年下の小生にとっても他人事とは思えないわけで、心からの哀悼の誠をささげたいと思う。

岸田総理の解散ねらい、アメリカ訪米はあるが4月末補欠選挙を見据えているのでは???

こう見てくると、岸田総理による解散・総選挙の戦略が何時になるのか、前号で私なりに4月末の補欠選挙を包み込んで解散・総選挙を企んでいるのではないかと思ったわけだが、アメリカに4月10日から国賓待遇で招待されているわけで、それを考えると3月末解散、4月末投票日は難しいかもしれない。では国会会期末解散にもっていこうとするのか、それもまた支持率次第なのかもしれない。なかなかしたたかな岸田総理との噂もあり、どう転んでいくのか、「政治は、一寸先は闇」なのだ。


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