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労福協 活動レポート

2025年9月1日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第388号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

自民党内の石破降ろし強まり、国民世論は石破内閣支持率上昇へ

今年7月の参議院選挙で自民党が「大敗」し、昨年の衆議院選挙と今年6月の都議会議員選挙の敗北に続き「三連敗」となったわけだ。当然のごとく自民党内では石破総理の責任を問う声が強まってきており、9月2日の両院議員総会を境にして激しい党内抗争すら予想され始めている。否、もう既に始まっていると言っていいのだろう。

ところが、不思議なことに自民党が敗北した参議院選挙以降の世論調査の結果は、「石破内閣の支持率が上昇し始める」という、今までの世論調査結果では考えられない事が起き始めている。

各メディアによる最新(8月末)の世論調査の数値を見てみると(7月に実施された世論調査に比較しての増減)、

共同通信35.4%で (+12.5%)
毎日新聞33%で  (+4% )
読売新聞39%で  (+17%)
産経・FNN39%で (+17%)

いずれも上昇しているし、毎日を除いてこれほど大幅な内閣支持率アップは異例なことで、2002年の小泉内閣の北朝鮮訪問後の9月調査の20%アップに次ぐものなのだそうだ。もっとも、共同や読売は大敗した参議院選挙直後の数値であり、比較すべき基礎数値が低すぎ、落ち込みが大きすぎることに注意すべきなのだろう。

田中横浜商大教授、石破内閣支持率はリベラル層支持が支える

この点について、更に詳しく見てみたい。世論調査分析などの専門家でもある田中辰雄横浜商科大学教授は、8月22日の自身のブログ「2025年8月臨界点―――石破内閣は何故支持率が下がらないのか」のなかで、結論として「今石破内閣を支えているのはリベラル側であることが原因」「保守の人は石破は辞めるべき」で「リベラルの人は辞めなくても良い」と答えており、「保守政党である自民党の党首をリベラルが支えるという異常な状態が生じている」と指摘されている。

直近衆・参選挙に8月調査、同一有権者対象の調査結果を分析へ
石破総理は「辞めるべき」46%、「辞めるべきでない」42%と僅差

田中教授は2024年の衆議院選挙、今年7月の参議院選挙,そして今年8月には独自の世論調査を実施されており、18歳から79歳までの1855人を3回の調査で原則として「同一人物を対象」にしておられる。

調査の結果、石破総理は辞めるべきかどうか、について、「辞めるべき」46% 「辞めるべきとは思わない」42%と、商業新聞の調査結果とほぼ同じ傾向が示されている。支持率が20%程度の政党の党首に対して「辞めなくても良い」が4割以上あることはやや異常であり、何と野党である立憲支持者は59%、共産党支持者でさえも53%が辞めなくても良いと答えているのだ。この設問について、全体としては悪いのは自民党であって石破総理ではない、と考えているのが7割近くいて、「石破政権が倒れるともっと悪い保守政権」になるとみておられるのかもしれない。

石破政権はすでにリベラルな政権に、国民世論と自民党国会議員の石破降ろしは真逆の動き

田中教授は石破政権は既にリベラル政権となっており、それ故自民党内では両院議員総会の場で「石破降ろし」へ進む動きを示しているし、野党側は石破退陣を迫っていないのがその証拠なのだとのこと。田中教授は、自民党支持者の62%は「辞めるべきではない」と答えていることにたいして、自民党支持者の中身が変質してきており、「岩盤保守層」が自民党から離れて他党支持へと流れ始め、党内の国会議員を中心にした「石破降ろし」はその逆流とみておられる。この間、国民民主党や参政党が登場し、今回の参議院選挙の結果は自民党内の右寄りの部分を自分たちの支持層として簒奪された結果と見ることができるのだろう。

自民党が失いつつある左右のバランス、55年体制終焉か

それにしても、自民党なる政党は、ある時は右に振れ、次にその反動でリベラル化するという絶妙な党内バランスがうまく作用していたわけだ。今後、右側が抜けた自民党をどう立て直していけるのか、今後の日本の政治システムの転換とも絡んでくるだけに注意深く見ていく必要がありそうだ。当面、9月2日の参議院選挙の総括と役員人事の動きから目が離せなくなっている。政界はこれから秋の陣に突入していくわけだが、今年は55年体制から70年、大きな転換期を迎えているのかもしれない。


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