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労福協 活動レポート

2015年9月8日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第5号)

元参議院議員 峰崎 直樹

安全保障法案の廃案こそ、今求められているのではないか

9月に入り、すっかり秋めいてきた今日この頃であるが、政治の方は違憲の安全保障法案が参議院審議に入っているものの、その出口が見えないどころか政府側答弁の混迷状況がますます露呈し始めている。国会を取り巻くデモへの参加者が増え、時にはなんと主催者発表で10万人を超す大群衆が参加するにまで至っている。まさに、60年安保に迫る勢いとなって来つつある。多くの学者や芸術家など幅広い文化人にまで反対の動きが強まりつつあり、政府与党は法案の採決に持ち込めるかどうか、円満な結論が出そうにない。本当に廃案にして、出直していくことがベストの選択になりつつある。

佐伯啓思京大名誉教授の朝日新聞9月4日のコラム
「(異論のススメ)金融市場の乱高下 アベノミクスに欠けるもの」に注目!

さて、今回取り上げたいのは、4日付け朝日新聞朝刊のオピニオン欄に、佐伯啓思京大名誉教授が、大変わかり易いアベノミクス批判を展開されている。題して「(異論のススメ)金融市場の乱高下 アベノミクスに欠けるもの」である。今回の第5号は、アベノミクスの第二の矢である機動的な財政運営から少し離れるが、この佐伯教授のコラムは実にうまくアベノミクスの問題点を切り込んでいるので、このコラムを中心に検討して行くことにする。

株・為替の投機で手軽に儲かる資本主義が健全な経済を破壊する。
今日の資本主義は過剰な資本の供給で危険に晒される

佐伯教授は、昨今の中国経済の減速の下、世界的な株式市場の不安定化が進展したが、こうした金融不安は何時また起きても不思議ではない、と金融市場の不安定性に警鐘を鳴らされる。さらに、資本主義とは資本を絶えず増殖させる運動であり、この資本増殖がわれわれの生活に役立つモノの生産やサービスの提供をもたらせば何も問題はないのだが、株や為替の投機によって大きな利潤が手軽に手に入る即物的でむき出しの資本主義こそが、健全な経済活動を破壊しかねないし、現に今日の資本主義は過剰な資本の供給によって危険にさらされているのは数年前のリーマンショックを見ても明らかだ、と説く。

今日の先進国経済は、新技術や新製品での利益が得られないため金融緩和を実施、
投機的利潤を生みだすが生活の向上にならない

なぜこんなことになるのか、今日の先進国では、新たな技術開発を行い、新製品を次々と市場へ送り出しても、さして大きな利益は得られなくなっていることを指摘される。グローバル市場は、激しい競争をもたらす代わりにそれほどの成果を生み出していないのだ。そこで、各国中央銀行がこぞって自国通貨を金融市場へ供給し景気を支えようとしたのだが、供給された貨幣は投機的な利潤を生みだすばかりで、長期的な研究開発や設備投資に回って生産を活性化することに結びついていない事の問題を指摘される。

かくして、金融が活性化する割には実体経済は良くならないで、極端化すれば「根拠なき熱狂」と言うバブルになり、いずれ弾ければ金融市場の混乱が実体経済を攪乱する。アベノミクスは、確かに脱デフレと景気回復をめざした緊急措置で、「何でもあり」なのだが、特に第一の矢である「異次元の金融緩和」は、脱デフレに向けたカンフル剤で、一定の成果を上げたと佐伯氏は評価している。しかし、それが我々の生活を本当に善くしたのか、となれば否定的であり佐伯氏は、次のような結論に達している。

人口減少する日本経済、資本も生産能力も過剰で、景気浮揚しないのだ。
いま必要なのは貨幣を投機筋から守ることなのだ

「アベノミクスは、脱デフレ、景気回復からさらに日本経済を力強い成長軌道に押し上げようとする。しかし、そもそも景気が十分に浮上しない最大の原因は、日本経済は既に資本も生産能力も過剰になっている点にある。日本社会は、少子高齢化、人口減少へと向かっている。こうした社会においては、市場はさして拡張しない。つまり、物をいくら生産しても、それを吸収するだけの十分な需要が発生しないのである。」「重要なことは、ただやみくもに貨幣を供給する事ではない。その貨幣をグローバルな金融市場の投機筋の餌にすることではなく、逆に、その貨幣をグローバルな金融市場の投機筋から守ることなのだ。」

で、そのことは何を意味するだろうか?

必要なことは、国内の産業基盤・生活基盤に資金が循環する事であり、
政府による将来ビジョンを踏まえた公共政策が必要だ

佐伯氏は、供給される資金を、国内の長期的な産業基盤や生活基盤として国内で循環させることこそが重要であり、この基盤づくりのためには、政府が、一定の将来ビジョンの下で、その資本の行き先をある程度指示することが必要になる。短期的な市場の成果主義ではなく、長期的な公共政策こそが求められているとし、そこで初めて、異次元的な金融緩和も意味を持ってくる。かくして「われわれは、一刻も早く、貪欲(どんよく)で即物的な金融中心のグローバル資本主義から決別しなければならない」と結論付けている。

この結論づけについては、異次元の金融緩和策への評価は別にして、小生も基本的に同じ考え方に立っており、一刻も早くこの道に進む必要があると思うが、どうだろうか。とりわけ、社会保障・税一体改革や教育への中長期的な公共政策が不可欠であろう。

(続く)


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