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労福協 活動レポート

2015年9月15日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第6号)

元参議院議員 峰崎 直樹

安倍内閣は、参議院での安全保障法案の審議を17日にも採決し可決する方向を打ち出したようだ。この法案については、大部分の憲法学者や元内閣法制局長官、さらには多くの学者や文化人、また今まであまり街頭に出てきていなかった学生たちも含めて、実に多くの各界各層の方たちが憲法違反であり反対を訴え、国会周辺はもとより街頭にも繰り出している。強行採決を考えているようだが、野党側も内閣不信任決議で以て抵抗しようとしている。どんな展開になるのか、今週中が山場になるようなので出来れば街頭に出て反対を訴えたいものだ。

消費税10%引き上げの際、食料品は2%分還付する案、
一人4,000円上限で逆進性対策になる「日本的軽減税率制度」の採用を!

さて、アベノミクスの第二の矢である「機動的な財政政策」について述べていく必要があるのだが、それに再び入る前に最近問題になっている消費税の還付問題に触れておく必要がある。歳入の中核は税収であるが、今の日本の歳入の中で税収の占める割合は50%そこそこでしかなく、歳入不足は国債発行で賄っていることは周知の事であろう。

その中で、歳入面では消費税の引き上げが予定されており、安倍内閣の下で本来なら今年の10月から10%へと引上げすべきところを、わざわざ衆議院の解散・総選挙を実施する理由にし、1年半も送らせ2017年4月から10%へと引き上げることになった。安倍総理は、引き上げ延期に際して、次の17年4月からは、余り条件を付けないで実施していく方針だと言明していたのだが、はたしてその言葉を額面通りに受けていいものかどうか、疑わしい。

経済成長名目4%の成長で税収増に期待する上げ潮派の高望み

経済的な環境が悪化していれば、再び延期をすべきだ、と言う声が強まってくるに違いない。現に、安倍総理の応援団としてアベノミクスを支持してきた人たちの中には、消費税の引き上げが実体経済に悪影響を与えるだけに引き上げ自体を止めるべきだ、と言う声すら出始めている。その方たち達の財政再建策は、経済成長率を高め、名目で4%程度の成長率が実現できれば税収の自然増で持って賄うことができる、と言う考え得方のようだ。いわゆる「上げ潮派」路線の方たちの典型的な考え方と言えよう。果たして、名目で4%と言う経済成長が実現できるのかどうか、インフレ率2%と言う目標もなかなか実現できず、成長率は名目で1%台に行けば良しとしなければならない程度でしかない。やはり、仮に一時的には経済成長率の低下を免れないとしても、財政の基礎的収支の改善を目指す以上消費税率の10%減り引上げはやらなければならないのだ。

10%の消費税率になれば軽減税率を強く求める公明党

問題は、消費税率を10%と二桁になる際に、与党の税制調査会、とりわけ公明党の側から軽減税率を採用するよう強く求めてきた経過がある。食料品について10%への引き上げ時に8%のまま据え置くべきだ、というもので、選挙時の公約になっていた。

何のために軽減税率を採用するのか、と言えば、消費税はどんな低所得者層の方でも消費をすれば必ず税を負担しなければならないわけで、富裕層の消費税負担率に比べて低所得層の消費税負担率が相対的に高くなってしまうという、いわゆる「逆進性」があることが問題であり、その解消のために食料品だけでも8%のままに据え置くことがその解消にもなる、と言うものであった。

与党税制調査会では決着が出ず、財務省に下駄を預けたのだ

自民党と公明党の与党税制調査会では何度もこの問題を論議したようだが、インボイスの導入無くして複数税率を事務的に正しく処理できない事や、食料品の範囲如何によっては1兆円を超す消費税額の減少を招くことから10%の税率をさらに引き上げなければならなくなることの問題点も出て、今年の春には何かいい案がないかどうか、財務省に検討するよう指示をしていたのだ。

その検討をした結果が、酒を除く食料品を買うごとにマイナンバーをかざして購入の記録をし、一人当たり4,000円の上限を設けて、例えば親子4人家族であれば上限16,000円まで各家庭に還付するようにする仕組みを提起してきたのである。当初公明党の税制調査会幹部は、この案について批判的であったが、与党税制調査会としてこの案を論議していくことになったようだ。ところが、この案をそれぞれの党に持ち帰って議論し始めたところ、公明党からはこれは我々が選挙で公約した軽減税率案ではない、と言う声が強く出されたという。

他方、自民党内ではそもそも軽減税率を設定することに批判の声が強く、こういう制度を設定するのであれば、そもそも軽減税率を設定しない方向にすべきである、と言った批判なども出されたようだ。そうは言っても、公明党との連立を組み、選挙協力なども進めているだけに、逆進性対策として「ヨーロッパ型軽減税率制度」を設定すべきなのか、それとも今回財務省が提起してきた軽減措置を「日本型軽減税率制度」として採用すべきなのか、今年の税制改革の中で大きなテーマとして浮上してきたのである。

問題は低所得者の消費税負担の重さにあり、その解消策だ

問題は、何を求めるのか、という事なのであり、消費税には逆進性があり、低所得者層には相対的に負担が重くなるわけで、その逆進性を解消する必要があるという点にある。ヨーロッパでは、逆進性を緩和するためにインボイスを入れて複数税率を採用しているのだが、複数税率を入れたとしても高額所得者層はそれだけ多くの食料品を購入するわけで、複数税率の恩典を高額所得者であるからと言って拒否することは出来ない。その為、逆進性緩和策としての複数税率は、ほとんど機能していないと言われ、その分税収減となり税率を高めざるを得ない要因になっているのだ。財政当局の立場からは、出来れば単一税率にすべきだ、と言う声が出ており、殆ど単一税率となっているデンマークが羨望の的になっているようだ。

財務省案は、よく考えられた制度、時間をかけて国民的理解を

逆進性対策を重視していくべきだ、と言う声に対して、食料品を対象にしてすべての購入費用全体の消費税率を8%にして、10%から8%分を差し引いて2%分を総て還付することもできるのだが、逆進性を聞かせるためには上限を設定すれば、いくら高額所得者が高い買い物をしたとしても消費税率の還付額は4000円で頭打ちになる。低所得者層にとっては、4000円×家族数分まで還付されるわけで、大いにその効果は発揮されるわけなのだ。

この財務省案は、まことによく考えられた制度であり、是非とも採用すべきだと思うのだが、理解が進むには時間がかかるようだ。引き続き、この問題はフォローして行きたい。

(続く)


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