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労福協 活動レポート

2015年10月13日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第9号)

元参議院議員 峰崎 直樹

マイナンバー制度の発足に当たって感ずること

秋も深まりゆく、今日この頃であるが、ちょうど今頃の札幌は紅葉が一段ときれいになって見る者の目を楽しませてくれる。台風の影響で少し折れたり散ってしまった紅葉もあるのだろうが、台風一過、ますます美しさが増してくるようだ。

さて、マイナンバーが10月5日から、いよいよ個人ごとの番号の市民への一斉通知を実施し始めている。小生のところにはまた来ていないが、運転免許証を持っていないため、身分証明手続きにも苦労させられてきたのだが、マイナンバーカードを持てれば、お役所関係の事務は簡単になりそうだ。来年1月から税や社会保障分野で機能し始めるわけだが、先ずは税の情報把握から始まりそうだ。年始のアルバイトに支払う給与の源泉徴収事務が、先ずは大きそうだ。

民主党が政権交代直後、番号導入に向けて税制改革大綱に明記

そもそもこのマイナンバー制度の導入には、鳩山内閣の財務副大臣として税制改革大綱を策定するなかで、番号制度を導入することを明記したことから始まる。もちろん、公約(マニフェスト)の中には明記してきたことは言うまでもない。もっとも、そのときにはマイナンバーと言う名称ではなく、納税者番号と言う表現だったかもしれない。マイナンバーと言う名称になったのは、広く国民から公募し、その応募したものの中から有識者の方たちによって選考してもらい、マイナンバーと言う名称を正式採用したのだ。

当初、国民安心番号だとか、社会保障番号と言ったものにしようとしたところ、官房長官をされていた仙谷さんから、「こういうものは国民から公募し、時代感覚をつかむのにすぐれた識者の中で選んでもらわなければ広く活用されないぞ」と言う示唆を受けて実施したもので、なるほど決まってみるとマイナンバーと言う表現は人口に膾炙しやすい良い名前だと思った次第である。

社会保障は所得情報とリンク、公平・公正な社会へ番号が不可欠

その活用は、税制はもちろん社会保障である年金・医療・介護などから始めるべきだ、と言うことになったわけであるが、何よりも社会保障などを論議して行けば、当然社会保障給付と所得情報が連動していることが解る。クロヨンだとかトーゴ―サンピンと言われるように、日本の所得捕捉は極めてルーズになっていると言われてきた。だが、番号が入ればクロヨンが解決できるか、と言えばそれは出来ない。と言うのも、クロヨン問題は事業所得の中の経費なのかどうかの認定にかかわる問題から派生しているわけで、その認定は番号があるなしだけではできないのだ。ただ、所得を正しく申告しなければ、という牽制効果は大きいと見ていい。

一番の思いは、所得・資産格差の是正にむけた税制改革にある

私自身の長い間秘めてきた狙いは、ズバリ金融所得、とりわけ預金情報との紐付けである。預金情報を含めた金融所得は、源泉分離課税になっており、個人の預金通帳だけで約8億冊存在していると言われており、それらの番号による情報の統合が出来ないために分離課税となっているのだ。その結果、何が起きているのかと言えば、所得階層1億円を境として、それ以上の高額所得者の実効税率は下がり始め、累進課税を原則とする所得税制なのに、所得が増えれば税率が低下するという累進制とは真逆の逆進性が実現してしまっているのだ(最後のページに平成20年の資料を参照してほしい)。金融が大きなウエイトを占める資産家層にとっては、まことに美味しい話なのだが、低所得者層にとっては、とんでもないことがまかり通っているのだ。しかも、それを放置したまま今日に至っていることを許してはならず、何としても改革しなければならないと考えてきた。それは、総合課税であろうと二元的所得税を取ろうと、改革を進めるべき重大な問題なのだ。

ぜひとも実現して欲しい、金融資産・所得情報と番号の連携だ

とはいえ、今でも金融所得は源泉分離課税となっている。それは、金融機関の所得情報とマイナンバーが依然として接続できていないからなのだ。安倍政権になって法改正が進められ、預金情報との接続が3年後に実現することになるのだが、それでも強制ではなく任意となっている。この点は、早くマイナンバーとの接続が確実に出来るようにしていく以外にない。そのためにも、マイナンバーが施行され、その必要性についての国民の認識が高まる必要がある。急いては事をし損じるわけで、税制改革は国民の置かれている現実と深く向き合い、慎重に進めて行く必要があることを財務省は深く認識して欲しい。

富裕層が国外へ脱出には、アメリカ並みの全世界課税の実施を

グローバル化の下で、高額所得・資産層に対する課税の強化を進めれば、海外に逃げてしまうのではないか、と言う疑問の声が出てくる。そのことをどのようにして防げるのか、国際的な適正課税の取り組みの改革がOECDを中心に取り組まれているのだが、何よりもわが国として自分の住んでいる国で作り上げた資産や所得に対しては、全世界所得課税制度を取っているわけで、アメリカのように全世界どこにいようとも課税ができるよう、ここでもマイナンバー制度を活用していくべきなのだ。おそらく富裕層優先の政策が取られがちな日本においては、なかなか政治的には抵抗が強く、大変困難な課題ではあるが、中長期的には是非とも進めて行くべき課題だと痛感する。

情報漏洩や成りすまし被害・サイバー攻撃へ、最大限の防御策を

今度のマイナンバーに対して情報漏洩であるとか、成りすましの被害の恐れを心配する方たちがおられることは十分に承知しているのだが、資産格差が大きくなり、ピケティの「21世紀の資本」によれば、低成長になればなるほど資産階層とそれ以外の中低所得階層の格差はますます広がることが懸念されているわけで、公平・公正な社会を実現するためにはどうしても手を付けなければならない課題なのだ。

もちろん、情報漏洩を防ぐための制度的な改革や、技術的な改革は進めており、たとえ一つの番号が明らかになったとしても、そこから芋づる式に情報が漏えいしないよう分散管理方式が取られたり、情報と情報をリンクする際も暗号化して実施されるなど、おおいに工夫が凝らしてある。もちろん、完全に安全であるとは言えないわけで、たとえ漏れがあったとしても、被害を最小にしていくシステムが採用されている。その為に、かかるシステム設計も複雑になる分高価になっていることは間違いない。

民間のマイナンバー利用には、国会での十分な論議と監視を

問題は、これから先の民間活用の問題など、経済界を始めとして多くの各界各層の方たちからのマイナンバー利用を求める声にどのように対応していけるのか、と言う点にかかっているのではなかろうか。個人の情報はプライバシーを守って行かなければならず、特定個人情報保護委員会が発足をし、3条委員会として大きな権限をもつわけで、その果たす役割も重大である。 何としても、国民生活の向上と安定のために大いに活用されるよう努力して欲しい。少なくとも、マイナンバー導入の旗を振ったものの一人として、そのことを願ってやまない。

NHK特集番組、故山崎豊子さんの文学作品と生涯に感動

話は少し前のことになるのだが、9月27日日曜日夜9時からNHKテレビの番組で小説家故山崎豊子さんの特集 が放映された。約50分間の番組であったが、山崎さんの作家活動だけでなく、帰国した中国残留孤児に対する奨学金の授与など、本当に胸が熱くなるような生き方に対して、心から敬意を表した次第である。同じその放映の中で、関東軍の参謀(氏名を残念ながら失念)であった方が、 シベリアでの厳しい抑留生活を終えて帰国後、弟の経営する建設会社に就職するものの、責任を痛感されての事だろう、家族とは離れて最後まで社屋の屋上にプレハブ住まいで生活し続けた元軍人がいたことを知り、瀬島隆三氏のように大手商社の経営陣に迎えられ、中曽根総理の知恵袋として華やかな人生を送った方とは全く違った生涯との対比を思い、人間としての生き方としてどう考えたらよいのか、しばし考えさせられる番組であった。瀬島氏が番組の中で語った「勝てる戦争ならもう一度参謀をやっても良い」と言う発言には、唖然とさせられると同時に、同じ参謀でもこうも違うものかと思った次第であった。あらためて、もう一度山崎文学を読み返してみたくなった番組でもあったように思う。

(続く)


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