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労福協 活動レポート

2016年3月11日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第20号)

元参議院議員 峰崎 直樹

「保育園に落ちた日本死ね!!!」問題への、とんでもないコメント

朝日新聞3月10日朝刊の記事で、保育制度問題の抱える深刻な問題について、総合3面の多くを使っての報道と、生活面での特集「『保育園作れよ』実現するには」において、専門家のコメントを大きく顔写真入りで取り上げている。この問題の拡がりから見て、時宜にかなった取り組みと言えよう。子供を産み育てながら働く若者たちにとって、現状は本当に深刻である。

問題にしたいのは、コメントをしている専門家である加藤久和明治大学政治経済学部教授の発言である。加藤氏は、待機児童が無くせないのは、政府がお金を十分にかけてこなかったから、であり、他の先進国に比べて「家族関係社会支出」がGDPの1.25%で、スウェーデン3.5%、フランス2.9%と圧倒的に少ない点を指摘されている。至極当然のことで、真っ当な指摘と言えよう。

問題は、その財源をどうしたらいいのか、と言う問いに対して次のように答えている点である。

「巨額の債務がある日本の財政状況では、国の支出はこれ以上増やせない。限られた税収の分配方法を変えるしかありません。他国と比べ、日本は高齢者への社会保障給付費が多い。生活にゆとりがある高齢者に、負担をしてもらう政策を進める必要があります。」

本当に高齢者の社会保障給付費支出は多いのだろうか。ここで良く指摘されるのは、社会保障費に占める高齢者向け給付比の割合だけを見て、その比率が他の国に比べて突出して高く、約50%近く占めていることをあげる人がいる。しかし、対GDP比で見た日本の高齢者の社会支出の比率は、他の国に比べて突出して高いとは言えない。特に高齢化比率との相関で見た高齢給付費を見れば、日本の高齢給付水準は貧弱な物でしかない。問題の根本は、日本の社会保障費そのものが余りにも少なすぎることにあるのであり、比較的早くから保険制度による整備が進められてきた高齢者社会支出に比べて、子育てや若者への貧困対策などが遅れているに過ぎないのだ。求められているのは、高齢者の社会支出から子育てなど家族給付支出へと財源を回すことではなく、消費税の引き上げなどもっと社会保障財源を増やす必要があることなのだ。消費税の軽減税率に回す費用などがあれば、もっと子育てに回すべきことも指摘しておくべきではないか。

そのことを理解していない専門家とは、いったい何なのだろうか。このようなコメントをしっかりと見抜けないで、朝日新聞の生活面を堂々と飾っているのにはあきれてものが言えないし、世代間の不必要な対立を煽りかねないトンデモないコメントと言えよう。まさに、「百害あって一利なし」のコメントと思うのだが、どうだろうか。

(続く)


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