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労福協 活動レポート

2018年10月15日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第66号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

「チャランケ」とは、アイヌ語で談判、論議の意、「アイヌ社会における秩序維持の方法で、集落相互間又は集落内の個人間に、古来の社会秩序に反する行為があった場合、その行為の発見者が違反者に対して行うもの、違反が確定すれば償いなどを行って失われた秩序・状態の回復を図った」(三省堂『大辞林』より)

過去の世界の金融・経済は、10月に大きな波乱が起きている

10月は、経済・金融の歴史に大きな出来事があったことを忘れることは出来ない。1929年の世界大恐慌であり、「暗黒の木曜日」と呼ばれる10月24日ニューヨーク株式市場が大暴落となり、その後世界の金融市場を席巻し、やがてブロック経済へと移行し第2次世界大戦へと連なって行ったわけだ。さらに、ブラックマンデーと言われた株価の大暴落も、1987年10月19日月曜日の事であり、金融市場にとって10月は鬼門である。

さらに大恐慌に匹敵するといわれたリーマンショックは9月15日だが、10月にかけて株価の暴落が続き、世界経済に多大な影響を与えたことは、まだ記憶に新しい。危機に瀕した金融機関を最後は税金の投入で以て救済し、その後の経済の落ち込みも、大規模な財政支出と超金融緩和策で以て対応せざるを得ない状況に追い込まれてきた。そうした政府の努力もあって、ようやくリーマンショックから立ち直り、世界経済は好況を持続できているものの、再び金融危機の到来は避けられないと指摘する専門家が警告を発し続けてきた。

もっとも、リーマンショックにおいて政府が公的資金を投入したものの、金融危機を創りだした経営者たちは責任を問われることなく収まったことが、トランプの台頭を許したことを見ておく必要がある。オバマ前大統領の責任は、まことに重いものがある。

アメリカから始まった株価の暴落、日本や世界に伝播へ

その、警告を受けるかのように、先週10日、アメリカのニューヨーク株式市場から始まった株価の大幅な下落は、翌日も低下が続き、先週末の12日になってようやく株価は幾分反発したものの、今週はどんな展開をするのか、世界の眼が株式市場に向けられている事は確かである。日本においても、11日の東京株式市場においては、日経225は一時1000円以上の下落をするなど、世界各国の株式市場は大幅な低下に見舞われ、これからどんな展開を示すのか、何とも不気味な市場の動きになりつつある。

こうした株式市場の暴落について、中間選挙を前にしたトランプ大統領はFRB(アメリカ連邦制度準備制度理事会)が金融緩和から通常の金融政策へと回復する中、利上げを継続している事に対して「FRBが狂った(The FED has gone crazy)」事に原因があるとし、利上げに関して「必要ないというのが私の意見だ。私の方が彼らよりこの点を分かっている」と発言している。金融政策に関して、大統領といえども具体的な政策はFRBに任せているわけで、このようなあからさまなFRB政策批判は禁句とされていたにもかかわらず、中間選挙を前にしてなりふり構わない姿勢をあらわにしたようだ。

今回の株価の暴落を予言、ロバート・シラー教授らは警告へ

この世界的な株式市場の下落について、かなり多くの専門家は何時でも起こり得ると見て10日の暴落以前に警告を発していた。

かつてITバブルやサブプライム危機について警鐘を鳴らしていたイエール大学のロバート・シラー教授は、最新号の『週刊東洋経済』10月20日号で、暴落前の株価が割高になっていること、企業業績も伸びているが、株価は他の投資家が上げ相場が続くと信じているから株価を押し上げているわけで、健全な懐疑心を失っているからだと見ている。そして、次のように予言している。

「そもそも下げ相場は、何らかの前触れや明確な理由があって訪れるとは限らない。不況にならなくても、弱気相場になることもある。今後の展開は確約できないが、現在の株高は企業業績に過剰反応してきた過去のパターンと一致するように見えてならない」(79頁)

今回の暴落は、「前触れや明確な理由」がない中で起きたわけで、再びバブルに向かいかかっていた「熱狂」を覚ます必要があることをシラー教授は示唆しているようだ。

さらに、日本の週刊『エコノミスト』10月16日号では、ペンネームの(南北)氏が「グローバル・マネー」というコラム欄で「『不均等成長』による株高のうたげも終焉へ」と題して、今回の株価の暴落を見事に予測している。特に、日本の株価について、

「企業収益から見れば株価収益率(PER)が14倍弱と、決して割高ではないが、労働分配率の低下で国内消費が低迷し、GDPに対比すると、株価はバブル期以来の割高となる」

と警戒を強めている。特に、FRBの利上げによって新興国経済の疲弊と米中貿易戦争による海外市場の縮小リスクで企業収益の基盤が動揺し、更なる利上げが信用不安にまで伝播すれば、株価の大幅な下落があり得ると警告している。

格差拡大によるカネ余り、どう内需を拡大していけるのか、
アメリカでも民主党左派が大統領候補にノミネート予想も

さて、これからの経済の展望はどのように進むのだろうか。アメリカや日本といった先進国経済は、明らかに成長力が低下している中で労働分配率が低下し続けていること、そのために格差が拡大し、過剰となった「カネ」が「投資」ではなく「投機」として金融市場や海外投資へと振り向けられ、バブル化しつつあるわけだ。

ここは、どうやって「内需」を拡大して行けるのか、政府による社会保障や教育といった分野への支出拡大、消費性向の低い高所得者から消費性向の高い中低所得層への所得(資産も)再分配を強化する事など、レーガンやサッチャーによる新自由主義以前の経済政策に戻っていく必要があるのではないか。現に、アメリカ民主党内では、サンダース上院議員だけでなく、次期大統領選挙でも民主党左派(社会民主主義に近いと言われている)の有力な政治家がノミネートされ始めており、夢物語ではなくなりつつある。その名前は、エリザベス・ウォーレン上院議員だと名指しをしているのは、スティーブン・ヴォーゲルカリフォルニア大学バークレー校教授で、10月4日付の「東洋経済オンライン誌」である。

問題は、日本であるが、そうして未来を感じさせる政治家が台頭し始めているとは思えないわけで、なんとか次の日本を牽引する政治家の台頭を期待したいものだ。


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