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労福協 活動レポート

2019年1月1日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第76号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

2019年の元旦にあたり、年頭のご挨拶

あけまして、おめでとうございます。今年も元気いっぱい、主として日本の政治・経済・財政を中心に、私なりの情報発信ができるよう頑張って行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本来であれば、昨年の12月31日に発信するのが定例なのですが、年も改まった元旦号として発信させていただきます。これまで、年賀状をお送りしていたのですが、可能な限りこのメール通信でもって、新年の御挨拶とさせていただきたいと思います。年賀状の終活へのご協力、どうぞよろしくお願いいたします。

今年の干支は「いのしし年」、12年毎に自民党、参院選挙苦戦へ

さて、今年の政治の世界では、統一自治体選挙と参議院議員選挙が12年毎に同じ年に実施される「いのしし年」である。わざわざ「いのしし年」と書いたのは「いのしし年現象」という名前で自民党が苦戦したり敗北したりすることを見つけた、元朝日新聞の石川真澄記者が初めて唱えたものである。今から12年前2007年には安倍第一次内閣だったが、「年金記録問題」等の不祥事もあり「大敗北」し、衆参ねじれ国会へ突入。自らの体調不良問題もあり、政権を放棄し、福田内閣へと転換したことを記憶されているだろうか。

「いのしし年」ジンクス打破に向け「何でもあり」の消費増税対策

その前の1995年の参議院選挙でも投票率が大きく低下し、自民党は「敗北」している。理由として、統一自治体選挙で精一杯だった地方自治体議員が、参議院選挙では十分な活動が展開されない事にあるのではないか、といわれている。それだけに、今年の「いのしし年」に向けて、安倍総理は前回の苦い敗北を再び逃れるために、それこそ「背水の陣」を引いてくることは間違いない。

今年の予算編成にあたって、10月から消費税率を10%へと引き上げる際に、食料品や新聞代の軽減税率だけでなく、カードによる決済に2~5%ものポイントを付けて消費者に還元するという、まことに滅茶苦茶な施策を実施することとしたわけだ。その結果、消費税率は10%、8%、6%、5%、3%と拡大されることになるわけだ。時限的とはいえ、こうした消費税の複数税率化は販売店や消費者は戸惑う事は必至だろう。まさに、「無理が通って道理が引っ込む」わけだ。

消費税は所得税に替わる基幹税の首座へ、だが堕落の始まりへ

なかには、東京オリンピックまで実施するものもあるようだが、オリンピック終了後の景気不況が心配されるわけで、ポイント還元政策も継続される事が十分に予想される。そうなると、軽減税率となった食料品は8%ではなく、6%~3%へと下げられることになる危険性があると予測され始めている。何のための消費税の引き上げなのか、全く酷い税制に堕落させられそうだ。将来的に、消費税収が所得税収を押しのけて基幹税目のトップの座を占めるようになったその時から堕落の道を歩み始めるわけで、日本の将来の財政はますます危うい。

いのしし年対策、奇手として衆参同時選挙、北方領土2島返還で

もう一つは、衆参の同時選挙を考えているのではないか、と思われる。その際の解散の大義名分は「日ロ平和条約の締結」にむけた「北方領土返還」問題だと見ていい。既に、プーチン大統領との間で「歯舞、色丹の返還」で合意する考え方を打ち出しており、新年に入ると外務大臣や外務事務次官まで加わった日ロの外交交渉が始まる。どんな展開になるのか、問題になった河野外務大臣の「記者会見における答弁拒否」は、今後の外交交渉が「秘密裏」に行われる事を暗示していて問題になりそうだ。

プーチン大統領の投げかけた難問、沖縄の辺野古は県民が反対でも強引に建設へ、北方領土でも同じことが???!!!!

もっとも、プーチン大統領は「歯舞、色丹」が返還されたとしても、そこにアメリカの軍事基地がおかれるのではないか、という問題を投げかけてきており、すんなり《2島返還》とはいかない状況が漂い始めて来た。というのも、アメリカの基地問題といえば、沖縄の辺野古の問題を取り上げ、県民が反対していても日本政府は基地を建設するわけで、これをどのように反論できるのか、悩ましい問題である。

この問題を提起し続けてきた鈴木宗男氏は、北海道にはアメリカの軍事基地は無いから大丈夫だ、とテレビの報道で答えていたのだが、そう簡単にプーチン大統領は納得はしまい。さらに、アメリカのトランプ大統領からは、今年から始まるアメリカとの貿易交渉(TAG)では、「為替政策」のあり方にまで踏み込んでくるやに報道されている。1985年の「プラザ合意」による円高問題から、あのバブルがもたらされた悪夢がよみがえる。トランプ大統領からどんな難題が投げつけられるのか、日ロ交渉でプーチンが米軍基地問題を取り上げたことを知っているわけで、どのような解決策があり得るのか、国民不在の秘密交渉が進められ、後で酷い目に遭わせられるのは御免こうむりたい。

安倍総理、2島返還へ踏み込んだ北方領土問題、どう解決する?!

いずれにせよ、安倍政権はプーチン大統領との間で「一歩踏み込んだ」わけで、どんな結末を迎えられるのか、その政治責任は厳しく問われる事は間違いあるまい。果たして、大阪のG20を迎える6月までに、北方領土の行方がどうなるのか、大いに注目していきたい。

参議院選挙での野党共闘は上手く進むのだろうか

さて、野党の動きはどうなるのだろうか。昨年末、岡田克也元外務大臣や野田元総理といった大物議員が、無所属の会から立憲民主党会派に合流したと報道されていた。他方、民主党から分かれた国民民主党の方は、世論調査では1%程度の支持率しかなく、このままでは参議院選挙比例代表区での獲得議席は1~2議席にとどまるとの厳しい見方が広がり始めている。今後、野党側がどのような纏まり方をするのか、なかなか見定められない。とくに参議院の1人区での野党統一候補が実現できるのかどうか、全てはそこにかかっているわけで、なんとか実現して欲しいと思うのは、安倍政権の横暴に歯止めをかけて欲しいからだと言えよう。

日本の社民政党の凋落、「民主党」政権の記憶が残る間は無理?!

こうした労働界をバックにした野党側が凋落しているのは、日本の民主党だけではなさそうである。日本の場合、社会民主主義政党(?)といわれてきた日本社会党や民社党が、色々な紆余曲折を辿って民主党へと合流し政権交代にまでは持ち込んだものの、今では再び立憲民主党と国民民主党へと分散しているわけで、ただでさえ議会での勢力が落ち込んでいるだけに、今後の再結集と飛躍に向けて何が必要なのか、暗中模索の常態なのだろう。特に、3年3か月の民主党政権運営によって、国民は間違いなく民主党政治を信頼できなくなったわけで、その体験・記憶が残る間はなかなか国民的な支持を拡大していくことは大変な事なのだと思う。

世界的にも社民政党の凋落が進む、ドイツ、フランス、オランダetc.

日本の社会民主主義政党の凋落だけかと思えば、世界のなかでも同じように落ち込んでいる。ここ数年の国政選挙でオランダ、フランス、ドイツの社民政党は、戦後最低の議席数へと衰萎しており、「いまや労働者層と社民政党の紐帯が解け、ポピュリズムが結び直そうとしている」と北海道大学の吉田徹教授は『北海道地方自治研究』昨年の6月号に掲載されたコラム「リベラリズムの歴史的な綻び」で指摘している。

社民党支持の労働者層が、ポピュリスト政党支持へ、何が起きたか

吉田教授は、なぜポピュリスト政党が、社民政党支持の労働者層の中に付け入る余地が広がったのか。元々労働者層には社会的価値観においては権威主義的・非寛容な傾向があったが、「経済的な平等を求める階級闘争が、結社の自由や基本的人権と言ったリベラルな価値と結びついていた」時までは良かったものの、「冷戦が終わった90年代、欧米の社民勢力が政治的にリベラルな価値を守りながらも、経済的リベラルであることを止め、国際競争と市場開放を選択した事の不幸な結果」に在ったと述べている。

社民政党が、労働者の権利や社会保障充実より経済自由化路線を選択したことによる不幸な結果では、北大吉田徹教授指摘

要は、賃上げや労働者の権利の拡大、さらには社会保障の充実など再分配政策をきちんとやらない社民勢力に愛想を尽かしたのではないか、という事なのだろう。「アメリカ第一」を掲げたトランプが、ラストベルト地帯のブルーカラー層からの支持を集めて当選できたことも、その表れの一つなのだろう。

逆に言えば、アメリカの民主党サンダースが社会民主主義的な政策を打ち出し、あわやクリントンを押しのけて民主党大統領候補者になる寸前にまで持ち込んだのも、社民勢力が経済的なリベラルな価値を実現して欲しいと思う声が、意外と大きく広がり始めている事を示しているのかもしれない。

日本のリベラル政党の立ち位置は、社会民主主義の原則に戻ることではないのか

私は、ここにこそこれからのリベラルと称する政治勢力が飛躍していける大きなポイントがあるように思えてならない。労働者層の権利や賃金水準、再分配政策の強化による社会保障の充実など、古典的な社会民主主義に見られるかもしれないが、今求められているのはそのことなのではなかろうか。今年も、こうした立場に立ちながら、主として日本の政治・経済・社会の動きをウオッチしていきたい。


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