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2019年11月18日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第121号)

安倍総理は大丈夫?!、「桜を見る会」の政治資金問題に点火か?!

毎年4月、春のお花見シーズンに総理大臣主催の「桜を見る会」が開催されている。自分の議員在任中は一度も参加した事もなく、関心もなかったので、最近国会で問題となってきた安倍総理のこの問題に関する疑念や疑惑については、十分にウオッチしていなかった。だが、新聞やテレビをはじめとするマスコミが一斉に問題を指摘し始めてきており、来年度の「桜を見る会」は中止にまで追い込まれてきた。人によっては、安倍首相の「逃げ恥作戦」だと見る向きもあり、このところの2人の閣僚辞任から萩生田文科大臣の「身の丈発言」に端を発する大学受験英語検定試験について、新制度実施延期という深刻な問題もあり、解散・総選挙にまで直結する可能性すら出てきたようだ。特に、安倍総理自身の公選法や政治資金規正法がらみの問題を孕むだけに、事態はかなり深刻である。

来年初めの解散・総選挙があり得る局面へ、野党が心配なのだが

朝日新聞16日付の記事「夕食会『五千円はホテル側が設定』 首相が異例の釈明」と題して報道している。安倍総理が15日の夜、首相官邸で20分を超える異例の取材に応じ、首相の地元有権者が多く招かれていた点などは釈明したものの、野党側が追及する政治資金上の疑惑などは否定するものだったようだ。もちろん、具体的な証拠などは示しておらず、野党側は国会での予算委員会集中審議などを要求して、疑惑の解明に向かう事を目指そうとしている。現に、15日札幌市内で開催された立憲民主党主催のパーティーで、枝野代表は政治資金規正法をはじめ多くの問題を秘めており、来年初めの安倍内閣による解散の時期にまで言及していた。今後、政局を大きく揺るがす大問題に発展する可能性が高まっており、本当に解散・総選挙も視野に入ってきたのかもしれない。なにしろ、肝腎の野党側の結束の見通しがついていないわけで、またしても選挙の勝利を通じて、政局の安定につなげることも在り得るのかもしれない。

安倍総理の政治資金規正法や公選法違反が疑われる局面へ

野党側が問題視している疑念や疑惑は、「公私混同」問題で、公的行事である「桜を見る会」を含んだ観光ツアーを案内する文書が安倍晋三事務所から地元有権者に届いていたこと。さらに、「収支報告書未記載」問題で、「桜を見る会」前日にホテルニューオータニで開催された首相夫妻同席の夕食会の収支が、首相の関係政治団体の収支報告書に記載されていないこと。さらに、同ホテルの夕食会会費とホテル側が設定している基本料金の差額があり、それが公選法上「買収」にあたること。また、「桜を見る会」の招待客名簿の保存期間「1年未満」として廃棄してしまったこと、などと多岐にわたっているし、小渕優子元経産相や松島みどり元法務相が政治とカネや公選法違反疑惑で辞任に追い込まれたことが思い出されるべきだろう。

郷原元検事は『ホテル名義の領収書』がカギを握るとみている

今回の「桜を見る会」疑惑について、元検事の郷原信郎弁護士は自身のブログで、「最大の問題は、安倍事務所職員が参加者から集金して『ホテル名義の領収書』を渡したとされている点」を取り上げておられる。その具体的なやり取りを正確に捉えなければいけないわけだが、公職選挙法や政治資金規正法に触れるかどうかについての問題点を指摘している。公選法199条の2が禁止している「公職の候補者等の寄付の禁止」に当たるかどうか、ホテル側が一人当たり「5000円」としていて、その金額と一致している会費が支払われていれば「寄付」には当たらないように思えるものの、実際にはどうだったのか事実関係を確かめる必要があるとされている。

政治資金規正法に記載していないのは完全にアウトなのだが

さらに、政治資金規正法上の問題点については、安倍首相が説明している「収支は発生しないため、政治資金規正法上の違反には当たらない」との説明はまったく通る余地がないと断言されている。つまり、このパーティーの「収入」と「支出」の両方を政治資金収支報告書に記載すべきだからである。ということは、安倍晋三後援会の政治資金収支報告書への不記載ないし虚偽記入の政治資金規正法違反が成立する事になるわけだ。いずれにせよ、安倍首相自身が「説明」に用いた『ホテル名義の領収書』が、この「桜を見る会」の前夜祭をめぐる問題の事実解明の《鍵》となるかもしれない、と予測されている。これからの事実解明の動きに注目していきたいが、11月20日には桂太郎首相を超える在任期間最長記録更新を前に、安倍総理自身の政治生命に暗雲が漂ってきたことは間違いあるまい。

『週刊東洋経済』最新号、特集の「NHKの正体」を読む

定期購読している『週刊東洋経済』の最新号は、「NHKの正体」である。毎日のようにTVを見ているだけに、必ずと言ってよい程NHKをみている。特に、調査報道の特集番組は、何時もその内容の広さと深さに感心しながら見ることが多い。ところが最近では、政党として「NHKから国民を守る党(N国党)」なる物が、先の参議院選挙で政党要件を満たして1議席を獲得するにまで至っている。そのようなシングルイッシュ―だけで政党要件を確保できるほど、NHKの存在が大きいのかもしれない。報じられている事によれば、受信料を払わないで視聴している国民(世帯)は20%に及んでいるとのことだ。最高裁で受信料を支払わなければならないとの判決が出て以降、取り立てが相当に強まっているようだ。

かんぽ問題をめぐる問題や政治報道の偏向に関心はあったのだが

それよりも、最近かんぽ保険とNHKとの間で放映内容に対して日本郵政側から抗議がだされ、それに対してNHK側から謝罪をするという事態が起き、一体どうなっているのかという漠然とした疑問を持っていたが、何が問題なのか十分に捉えて来ていなかった。この問題以外にも、NHKの政治番組のあり方について、安倍総理の提灯もちではないか、と思われる報道が気になったりしていたわけだが、NHKの会長をはじめとする人事権が内閣に在り、NHKの予算は国会での承認事項となっているわけで、こうした政治的偏光が起きることは「そうなんだろうな」と半ば諦めにちかい思いを持っていた。

NHKのガバナンス欠如を指摘、上村達男早稲田大学名誉教授の慧眼

この特集をぱらぱらめくっていたら、先ほど問題にした日本郵政とNHKとのやり取りの中で、早稲田大学名誉教授で会社法の権威である上村達男先生が「経営委員会の誤りを正せるガバナンス体制を構築せよ」というインタビュー記事が掲載されていた。上村先生と言えば、2012年3月から15年2月までNHKの経営委員会の委員長職務代行者を務められ、多くの著書の一つに『NHKはなぜ、反知性主義に乗っ取られたのか』がある。まさに、NHKのあるべきガバナンスについての問題の在り処を一番良く理解されている方であり、このインタビュー記事についての指摘は実に厳しいものだった。

上田会長と石原経営委員長、立場が逆転した今回のかんぽ問題

とくに、かんぽの報道をめぐるNHKの対応について、ずばり「放送法上はっきりしているのは、業務執行の全権は会長に在り、経営委員会には監視・監督権があるということ。職員が間違ったことをした場合、処分する権限は会長にしかなく、経営委員会は番組編成を中心とする執行部の業務に干渉したり、規律づけをしたりしてはならない」(64ページ)のに、石原経営委員長が上田会長の上司として振る舞っているような「厳重注意」に及んだことを厳しく批判されている。他方で上田会長については、石原委員長に毅然とした反論をすべきなのに、謝罪してしまったことを批判されている。もちろん、日本郵政の鈴木上級副社長が、NHKに対して抗議に及んだことへの厳しい批判が展開されている。要は、今回のかんぽ生命とNHK報道のあり方について、それぞれの立場の持つべきガバナンスの原則がないがしろにされていると批判されている。

NHK経営委員会独走をチェックするには、最高のガバナンス導入を

とくに、経営委員会が間違った判断をした今回のような場合、誰が経営委員会を正すことができるのか、という問いに対して、上村名誉教授は「それを正す手段が今はない」と断言され、経営委員会を変えるためには「放送法の改正が必要になるかもしれない」が「民間における最高水準のガバナンスを参考にしてNHKを変えていかないといけない」と述べておられる。

それにしても、NHK経営委員は国会の同意人事で、本来はその時どきの政府の意向に左右されてはいけない、という趣旨で従来与野党が一致して人事を決めて来たのに、今は政府の意向で決まり、野党は相手にされていない。首相の「お友達人事」の弊害が、経営委員会の本来の役割である政府に対する毅然とした態度が採れるよう、国会同意人事における全会一致を目指して立て直すべきことを主張されている。国会は上村教授の提言をしっかりと受け止め、改革を進めていくべきだろうが、今の安倍1強体制の下ではその提言の実現性は余りにも低い。政治において、いつでも政権交代可能な与野党間の競い合いこそ、民主主義が機能する条件なのだと言わざるを得ない。

来たるべき解散・総選挙に向けて、どんな野党側の戦線が組み立てられるのか、れいわ新選組の消費税5%への減税を選挙協力の軸にすることで野党側が一致できないとき、MMT理論を正しく論破できる論客の台頭が望まれる。一番今求められているのは、そうした取り組みの強化ではないのではないだろうか。またしても、野党側の戦線の乱れが与党側を利するだけに、何ともやりきれない思いを持つ今日この頃である。

お詫び、295号で「1980年のポーランドで連帯の結成とソ連の介入という事態」と書きましたが、ソ連は直接介入しておらず、ヤルゼルスキ―将軍が戒厳令を布告し、「連帯」を非合法化しました。事実の間違いがあり、深くお詫びすると共に、訂正させていただきます。よろしくお願いいたします。


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