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労福協 活動レポート

2020年2月3日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第131号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

冒頭解散は無くなったが、どうしてこのような総理が続くのか

いよいよ1月20日から通常国会が始まった。私自身も含めて冒頭解散もあり得るのではないか、という見通しがあったのだが、立ち消えになったようだ。桜を見る会やIR疑惑、さらには河井元法務大臣夫妻の政治資金疑惑など、スキャンダルまみれの中で、解散・総選挙に打って出る胆力に欠けたのかもしれない。

特に、桜を見る会疑惑については、31日付朝日新聞紙上で池上彰さんの「新聞ななめ読み」欄で初めて知ったのだが、背景に山口県の選挙区の中で林芳正元農水大臣との中選挙区から小選挙区に移行したことによる確執があったことを知るにつけ、なかなか根深い問題があることを見過ごすことは出来ない。また、31日の衆参予算委員会での質疑の中で、立憲民主党の山井議員の追及によって、本来なら政治資金報告書に掲載しなければならないにもかかわらず、前日のニューオータニでの会費を収支が均衡しているので掲載しなかったと答弁し、法律違反が白日の下で晒されるなど前途はまだまだ暗雲が立ち込めている。

今週から始まる来年度予算の審議において、引き続きこれらの問題が中心的な問題として追及されるに違いない。何とも情けない総理大臣の姿を見るにつけ、何でこんな総理が長期政権を維持できているのか、不思議に思えてならない。

案の定、野党合流は挫折へ、台風の目は「れいわ新撰組」か?!

それにしても、安倍総理は実にラッキーな総理大臣であり、森友や加計問題に始まり、今回の桜を見る会に至るスキャンダルまみれでありながら長期政権となっているのも、ひとえに野党側の力不足だからに他ならない。その野党において、昨年末から繰り広げられてきた政党の合流話は、どうやらうまくいかなかったようだ。立憲民主党と国民民主党の合流について、事実上立憲民主党への吸収合併に近い合流には国民民主党側の賛成が得られなかったようだが、真相は外から見ただけでは良く解からない。もともと旧民主党から分かれてきた両党なのだが、原発問題をはじめ、一致できない政策を抱えており、無理に合流したとしても、再び離散する危険性もあるだけに無理をしない方が良いのではないか、という声も出ているようだ。

消費税5%へ引き下げ、背景にあるMMT理論とどう向き合うのか

いま、立憲民主党と国民民主党、さらには社会民主党を合流したとしても、共産党やれいわ新選組という枠組みの野党勢力がまとまり始めており、むしろ今の情勢では「山本太郎」というリーダーを軸に、新しい左派勢力の帰趨が今後の野党戦線をリードしていく台風の目になりそうだ。むしろ、かつての「オリーブの樹」連合のような国会内共闘から選挙共闘にまで高め、政権交代に向け努力する方がベターではないか、と思えて仕方がない。それにはそれで難しい問題が待ち構えている。それは、「消費税の5%への引き下げ」というれいわ新選組が提示している選挙協力の条件を、立憲民主党や国民民主党が飲めるかどうか、という点にある。もっと言えば、その背景を為しているMMT理論について、野党側がそれをどうとらえ今後の経済財政政策の軸として共通認識にまで持ち込むことができるかどうか、にかかっているのだと思う。

民主党政権最大のアキレス腱、「16,8兆円を増税なしで捻出」だった

なかなか難しい問題だと思うが、かつての民主党政権時代のマニフェストで「16,8兆円の財源を増税なしで生み出せる」と無責任極まりない公約を出してきたことがあっただけに、今度こそしっかりとした経済財政政策を創り上げて行くチャンスでもある。どう展開していくのか、見守っていきたい。私自身は、MMTについてはやはり財政問題に問題を持っているだけに、どうしても支持できないわけで、政権を獲ろうとする政党間でその点をきちんと整理する事が最大の問題だと見ている。

日銀の審議委員交替、未だリフレ派に固執する政権の姿勢を疑う

報道によれば、政府は3月末に任期が切れる原田泰日銀審議委員の交替に丸三証券調査部長の安達誠司氏を起用するとのことだ。今の与野党の現状からすれば、衆参の国会での同意人事はすんなりと決定する事になるのだろう。

言うまでもなく安達氏は、かつて原田氏同様リフレ派で、デフレからの脱却にむけて金融緩和をすればできるという考え方の持ち主だったはずだ。こうしたリフレ派が、安倍第2期政権になって黒田総裁率いる日銀の審議委員に多く登用され続けてきたこと、そしてその結果が2年間で2%の消費者物価引き上げは出来なかったわけで、異次元の金融緩和政策に頼ってきた安倍政権の経済政策は完全に失敗した事は誰の目にも明らかな事だろう。

異次元の金融緩和、それでインフレ2%は達成したのか、
円の価値を下げ、輸出企業と株価引き上げで資産家優遇だけではないか

前号でも取り上げたエコノミスト中前忠さんが指摘するように、異次元の金融緩和によって円安をもたらし、輸出企業が円安によって大儲けをすると同時に、有り余る金は株式市場や不動産市場に流れ込み資産保有者層には莫大な利益を生みだし、事実上のバブル経済をもたらし続けている。他方で、国民にとって預貯金から得られるはずの金利収入(金利が5~6%時代には約30兆円近くあったといわれる)は事実上ゼロにまで落ち込むと同時に、円安による日本が生産する商品やサービスは海外の人達からすれば大安売りとなり、中国を先頭に外国人観光客が急増している。結果として、ドルベースでの日本のGDPは、2009年は5,2兆ドル、2012年6,2兆ドル、2018年4,97ドルと民主党政権時代の方が3年間で1兆ドル伸びているのに、安倍政権の下では1,23兆ドル低下させており、まさに「亡国の金融政策」となって我々国民の生活を低下させ続けているわけだ。

国会での同意人事、是非とも本人を呼んで金融政策の論戦を

それだけに、2013年から7年刊も続いている黒田総裁率いる「リフレ派」による金融緩和政策を大転換しなければならなくなっているが、今の政権にはそういう反省は無さそうである。日銀の政策決定は、黒田総裁以下9名のメンバーが決定権を持っており、今回交替する審議委員も決定権を持つ一人である。それだけに、この間の金融政策を転換させていくのかどうか、この人事はそれが問われているわけで、再びリフレ派が登用される事は引き続き今までの路線を踏襲するという事になる。本当にそれでよいのだろうか。国会で多数を握る自民党や公明党内において、今のままの金融政策で本当に良いのかどうか、リフレ派が主張していた「デフレ」は金融現象であり、金融緩和する事によってインフレは起せる、という主張が未だに実現せず、むしろ金融緩和によるゼロ金利やマイナス金利によって、気国民生活の破壊だけでなく金融機関のビジネスモデルを崩壊させてしまっている事にも目を向ける必要があろう。是非とも、国会での同意人事の採決の前に、安達氏本人を国会に呼んで金融政策の考え方をしっかりと聞くべきだろう。

民主党政権交代直後の日銀政策決定会合議事録公表へ、
デフレ認定の鳩山内閣と日銀の齟齬が明確に

おりしも、2009年の政権交代時の日銀の金融政策決定会合の議事録が公開され、その内容について色々と新聞報道が為されている。2009年11月、民主党鳩山政権は日本経済の現状について「デフレ」と認定したことを受け、白川総裁以下政策決定会合に参加した人たちの戸惑いが議事録で浮かび上がっている。

11月20日の会合で白川総裁は、「デフレという言葉の持つ魔力は金融政策の最終目標にとって必ずしも良くない」「我々自身がどう見られるかも大事だが、一方で、最終的に経済自体をしっかりさせていくことが目標」と言い切り、会合後の記者会見でも「デフレ」かどうか、依然として明言を避けている。その後、11月末の「ドバイショック」でさらに円高株安が強まったことを受け金融政策に対する圧力が強まる中で11月30日、名古屋の講演で白川総裁は初めて現状がデフレである、と認めることとなる。翌、12月1日の臨時会合で10兆円規模の追加の金融緩和を決定する。

白川総裁の金融政策への認識について、改めて評価すべきだろう

その後、12月18日の決定会合で、白川総裁は「金融的な不均衡というべき現象が広がって、最終的にバブルの拡大と崩壊」をもたらすと警鐘を鳴らしたことは、バブルが崩壊したかどうかは別にして、金融的な不均衡が広がっている事は間違いない。と同時に、日本経済の力が国際的に見て落ち込んできている事実を重く受け止めるべきだろう。当時の経済状況の中で、デフレからの脱却は日銀が金融緩和に消極的だから出来ないのだ、と言う大合唱の中で、白川総裁の透徹した見通しについて改めて敬意を表しておくべきだろう。

産業界代表の亀崎審議委員の指摘も実に的確だ

また、特に産業界(三菱商事)出身の亀崎審議委員は、「借り手に需要がないために出て行かないのであって、お金が足りない状況ではない」と的確に問題の所在を指摘されており、さすがに産業界の出身だけあって現実の金融の動きを正しく見ておられる。それだけに、今回の審議委員の交替も、金融界からではなく産業界から選出すべきではないか、という声があることも考えるべきではないだろうか。

西村副総裁、白川総裁のコミュニケーションへの不満が興味深い、
須田美矢子委員の「リフレ派」への思いに同感

この当時、副総裁だった西村清彦氏は朝日新聞で日銀のコミュニケーション戦略がうまくいっていなかったことを指摘している。白川さんから交替した黒田総裁は、政治との関係でコミュニケーションを回復させた事を「評価(?)」されているが、今は孤立し限界が見え、「どういう形で金融政策を考えていくか自体を、再議論する時期になっている」と述べておられる。

また、審議委員だった須田美矢子氏は日本経済新聞で、「マイルドな物価下落」で皆が納得していた時、政府が「デフレ認定したのは驚きだった」ようで、政権交代でうまく対応が採れていなかったことを指摘している。ただ、当時日銀が「資金供給量を増やすことも一生懸命悩んでやっていたのに分かってもらえないと思っていた。ただ、大実験(現在の異次元緩和)を経て、ようやく分かってもらえたのかな。量なんて(物価上昇には)意味がないよと。10年かかったけど」。かくして、10年前にはリフレ派による「金融緩和」強化の大合唱だったわけで、10年経ってようやく冷静に判断すべき時に来ているだけに、再び「リフレ派」の安達誠司氏の登用は考え直すべきだと思えてならない。


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