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労福協 活動レポート

2020年3月30日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第138号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

新型コロナウイルスのパンデミック化した現実、一体どうなるのか

新型コロナウイルスによる影響の深刻さが、日ごとに強まりつつあるように感じる。世界がグローバル化し、人を通じた感染が続くわけで、世界の先進国では、国の経済の7~8割はサービス化が作り出しているわけで、サービスの担い手である人の動きを閉じ込めなければならない今回の新型コロナウイルス問題は、人為的に経済を大きく落ち込ませることに他ならない。それがいつまでに終息するのかわからないだけに、経済・社会に与えるダメージのマグニチュードは計り知れないものがある。

経済の動きに関する様々な指標がこれから続々と報道されることになり、その深刻さが誰の目にもはっきりと表れてくることは間違いない。今起きている事態を見るだけでも、交通・運輸・観光・飲食・スポーツ・文化といった業種の落ち込みは、深刻さがにじみ出ている。中には、廃業をせざるを得なくなっている方々も出始めているに違いない。ちなみに、労働政策研究・研修機構の天瀬光二副所長の緊急コラム「労働市場を守れるか」において、「雇用危機に直面する産業に従事する就業者の比率」を日本・ドイツ・イギリス・フランスで比較して図示されている。それによれば、卸売・小売、宿泊・飲食、芸術・娯楽の3業種だけであるが、日本は24,0%、ドイツ19.0%、イギリス20,9%、フランス18,4%と日本がヨーロッパの先進国と比較しても一番雇用のダメージが大きいようだ。

深刻化する雇用、フリーランスの人たちをどう守れるのか深刻だ

しかも日本の場合、こうした産業に従事している労働者は非正規労働者やフリーランスという形態で働いている人が多くなっており、29日付の朝日新聞の1面に、新しく始まった連載『働くってなんですか』「フリーランスで音響 ライブ激減し悲鳴」という記事が掲載されている。その中で、文化・芸術の分野での自粛要請によって多くの興行が中止に追い込まれ、失われた収入をどうするのか注目が集まっている。そもそもこうしたフリーランスで働いている労働者が一体どのくらいおられるのか、厚生労働省の試算では、企業に委託されて個人で仕事をしている人は約170万人にも及んでいるとみている。今までは、雇用だけは有効求人倍率も全都道府県で1以上となり、失業率も低下し良好だといわれていたわけだが、ここにきて一気に落ち込み始め、深刻な状況が広がり始めてきたことは間違いない。

リーマンショック以上の深刻な危機、1929年の大恐慌に匹敵か!!??

こうした人の流れがストップしそれが何か月も継続し始めれば、サービス産業から製造業を含めたあらゆる産業にまで拡大し、放置すれば国の経済の縮小・崩壊へと転落することは火を見るより明らかであろう。今のコロナショックをリーマンショック以上という表現をする人が多いのだが、コロナウイルスの感染が長引けば長引くほどそんな生易しいものではなくなるに違いない。1929年の世界大恐慌に匹敵するのではないか、とみる専門家も出始めており、世界の結束が試されているように思われる。

感染源の中国は沈静化に向かうようだが、国際社会への情報提供を

注目したいのが中国の動きである。といっても、中国の政治・経済・社会に精通しているわけではないので、外形的なことだけしかわからないのだが、今度のコロナウイルスの震源地とされる中国、武漢の封鎖を経て中国国内の感染者数が減少し始め、公表されている限り患者数でも、死亡者数でも最悪期を脱して終息期に入ったように見える。どれだけ中国政府の発表を信頼していいのか、疑問符がつかないとも限らないのだが、それにしても大きなヤマを越したようだ。こうした中国における感染から終息までの情報を、他の国々に積極的に開示してほしいと思う。世界経済をけん引すべき中国とアメリカが、お互いに感染の原因をめぐって避難しあっていることは何の意味もないわけで、国際協調への努力を強く期待したい。

権威主義的な中国のほうが、うまく解決できるのだろうか???

少し、横道にそれてしまったのだが、リベラル・デモクラシーではない権威主義的な経済大国である中国で、強権的なやり方を取ったコロナウイルス対策が成功し、そうした政治体制よりも優れていると思われた先進国でウイルス退治がうまくいかないという現実を見るとき、リベラル・デモクラシー下における政治とは何なのか、考えさせられる。もっとも、まだまだこの問題の出発点に立っただけなのかもしれず、今後の中国国内の政治・経済・社会の動きがどう展開していくのか、さらにリベラル・デモクラシー下の国々おける動きにも注目し続けていく以外にないのかもしれない。今の仕組みをより良くしていくための努力を期待したいし、日本の民主主義の改革こそ強化していく以外にない。

日本の緊急経済対策、所得減少世帯に現金給付、公正・正確さは??

さて、日本における緊急経済対策のほうに目を転じていきたい。28日安倍総理は緊急経済対策として「リーマンショックを上回るかつてない規模」の経済対策を、4月初旬までの10日程度で策定するよう指示をした。リーマンショック時の対策は56兆8千億円であり、それを上回るGDP1割以上にするとしている。アメリカでは2兆2千ドル、約240兆円という大規模な財政措置をとることを決定しており、多分にその勢いに圧倒されているのだろう。いろいろと対策が進められていくのだろうが、一番気になるのが「所得減少世帯に現金給付」することであり、対象は限定するとのことだ。

いったいどのような世帯に対して現金給付をしていくのか、所得が減少した世帯をどのように把握できるのか、なかなかむつかしい問題となってくる。かつて、こうした時にこそマイナンバーを導入して正確な所得捕捉に力を入れていくべきだと考えてきたわけだが、残念ながらまだマイナンバーによる所得捕捉は十分にできていないようだ。特に、フリーランスの方たちの収入減に対してどのように対応出来るのか、雇用保険制度が適用されている労働者には雇用調整助成金が支給されるわけだが、こうした保険にカバーできていない非正規労働者などにどのような支援措置が取りうるのか、早急に対策を講じていくべきだろう。現金給付による措置も必要ではあるが、例えば公営住宅に入れない低所得者に対して住宅費補助であるとか、雇用保険未加入者の職業訓練と併給する給付金の拡充による人的資源の充実など、これからの時代が求める人材育成に向けた積極的な経済政策として展開されることなどが望まれる。

消費税率の引き下げはやらない、賢明な選択だ

一番の焦点になると思われた消費税の税率引き下げ措置に対して、政府としてはとらないことが明らかになった。消費税の引き下げによって消費が増加するかどうか、コロナウイルス封じ込めにとってマイナスとなるだけでなく、税率引き下げに伴う事務的作業に追われる企業側の負担や終息後に再び消費税率を引き上げることの政治的困難さなど、私自身妥当な判断だったと考えている。これから、セーフティネットをしっかりとしたものに張り替えていく必要があるだけに、消費税は最も頼りになる税制度であることを主張していく必要がある。

国際社会が一致して感染症対策の重要性を認識・行動すべき時だ

28日の午後13時からNHKBS1でコロナウイルス関連のドキュメンタリー番組が、4時間にわたって放映されていた。タイミングよく見ることができたわけだが、2014年放映のエボラ出血熱のドキュメンタリー映像を見たとき、こうした深刻な状況について当時はアフリカの貧困国における災厄とだけしか考えておらず、地球環境問題の異変がもたらす危険性についてはほとんど意識することがなかったことを恥じ入ってしまった。ジカ熱や豚インフルエンザ・鳥インフルエンザ、さらには新型インフルエンザ、サーズやマーズという人類が直面する感染症との戦いを見るにつけ、国際社会が一致協力して感染症対策を進めていかなければ、やがて人類全体への災厄となって襲い掛かってくることを教えてくれた。

今こそ一番重要なのは、国際(航空券)連帯税の導入ではないか

思い出したのは、こうした国際社会が解決しなければならない課題について、税の世界で「国際連帯税」があったことである。2006年4月からフランスで始まった「航空券連帯税」の取り組みは、その後いくつかの国々に拡大していく。フランスの取り組みは、税収をマラリア・エイズ・結核という感染症に対して、主として途上国の支援を行うものだと理解していた。たまたまEU議連と日本の国会議員との定期的な国際会議が、2006年にフランスのストラスブールで開催されたとき、私一人でフランス政府の担当者からヒアリングをしたわけだ。その後、日本に帰って自民党税調の責任者だった津島雄二衆議院議員らと語らって「国際連帯税の導入をめざす議員連盟」を結成し、メンバーは大きく交代しつつも今日に至っている。今こそ「国際連帯税」を導入し、グローバル化に伴う様々な問題を解決していくための財源として行くべきではないか。そう強く思わされた特集番組であった。


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