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労福協 活動レポート

2021年7月26日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第203号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

G20プサン会合での私の発言、あまりにも独断的な思い込みを反省

今週号は、お詫びをしたいと思う。それは、今進みつつあるG7やG20、さらにはOECDの場で策定中の国際課税問題であり、2010年6月に開催されたG20釜山での財務相・中央銀行総裁会議での財務大臣の代理としての発言、「先進国の法人税率の引き下げ競争は辞めるべきではないか」ということが、ようやくイエレン財務長官主導の下で実現し始めたことに言及してきた。自分の発言が実現しつつあることに、やや過剰な反応をこの通信で書いてしまったようだ。

記憶間違いを指摘してくださった新聞記者、過去の事実に無知

というのは、釜山の会合における記者会見の後で、自分はA新聞社のO記者との会話をしたことを覚えていたと勝手に思い込んでいて、その記者に改めてメールで確認してみたのだ。メールのやり取りによって2つのことが明らかになってきた。1つは、当時A新聞社からG20プサン会合にO記者は出席していなかったこと。これは、完全に自分の記憶違いだったと判明した。もう一つが重大で、何もプサン会合での私の発言内容は目新しいものではなく、1995年のリヨンサミット(橋本総理出席)における経済合意に次のように要約されているのだ。O記者から、そのことを指摘され、さっそくリヨンサミットの経済宣言から該当箇所を見つけてきた。その内容は以下のとおりである。

「 16.最後に、グローバル化は、租税政策の分野で新たな課題を生み出している。金融その他の地理的に移動可能な活動の誘致を目的とする税制に見られるような税に関する国家間の有害な競争は、貿易と投資を歪曲する危険があり、各国の課税基盤の浸食につながり得る。我々は、OECDに対し、各国が、個別にまた共同で、これらの慣行や税に関する様々な形態の有害な競争の範囲を制限し得るような多国間のアプローチの確立を目指し、この分野における作業を精力的に推進するよう強く要請する。我々は、1998年までに報告書を作成することになっているOECDによる作業の進展を注意深く見守っていく。我々は、また、移転価格税制に関するOECDにおける重要な作業の継続を注意深く見守り、そのような作業においてOECDが既に達成した顕著な進展を心から支持する。」(リヨンサミット「経済コミュニケ」仮約、外務省ホームページより)

同行の玉木財務官、最も精通した専門家に相談していないお粗末さ

95年から2010年、確かに15年経っているわけで、その間どんな取り組みがなされてきていたのか、まったくウオッチしていなかったわけだ。本来なら、同行していた玉木林太郎財務官に、自分が発言しようとする中身についてあらかじめ確かめ、よく相談しておくべきだったと反省している。玉木財務官は、ほぼ一貫して国際経済金融の道を歩まれ、若き頃はOECDに出向されていたわけで、一番こういう分野に精通しておられる方だった。今思えば、思い付きのように公的な場での発言だっただけに、慎重さが求められていたと言えよう。もちろん、間違ったことを述べたわけではないが、リヨンサミットなどで合意していたことの繰り返しに過ぎなかったわけで、何も特筆すべきことではない。大いに反省させられた次第であり、読者にお詫びしたいと思う。

民主党政権時代の「政治主導」による思い上がりに反省すべきことを痛感させられる

こういうことを振り返るとき、やはり民主党政権時代には「政治主導」という「思い上がった傲慢とも思える言動」があったことを指摘されることがあるが、自らにも反省すべきことを痛感させられている。

今週は、これ以上書く意欲を欠いており、8月以降、心を新たに再びキーボードに向かいたい。


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