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労福協 活動レポート

2022年8月8日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第254号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

いつも読んでいる『週刊東洋経済』(8月13-20日合併号)に「Inside USA」欄があり、会田弘継関西大学客員教授が「中間選挙にみる2大政党の分断と新・階級闘争」と題して、アメリカの世論調査から生々しい実態を報じておられる。中間選挙に向けてニューヨークタイムズ(NYT)紙が掲載した詳細な世論調査結果について、民主・共和両党の支持者らの選挙争点への認識が大きく食い違う事を見せつけているとのこと。争点の違いは、民主党がますます高学歴・金持ち層の政党になり、低学歴・貧困層は共和党支持に流れる傾向を裏付けているとのことだ。アメリカ社会の分断が、民主主義に大きな悪影響をもたらしているだけに注目すべき論点と言えよう。

かつてアメリカでは大卒以上は共和党支持、高卒以下は民主党支持が多かったが、2000年代初頭に逆転し、学歴によって所得格差が開くこともこの傾向に拍車がかかっているとのこと。今度の中間選挙での最重要な争点として浮上しているのが「経済・インフレ」問題で、全有権者の36%の断トツのトップだが、共和党支持者では62%なのに、民主党支持者は25%でしかない。民主党支持者で多いのが「議会襲撃事件」「銃規制」「中絶」とのこと。背景には、民主党支持者は今の経済について61%は良いと答え、共和党支持者は79%が悪いと答えていることがある。さらに、今の自身の財務状況について「良い」とこたえたのは世論調査全体の平均値で10~15%前後、ところが大卒以上では6割、年収10万ドル以上の人は7割が「きわめて良い」「良い」と答えている。

さらに、民主党のサンダース上院議員支持の政治組織、「アメリカ民主社会主義者(DSA)」系の論客がまとめた08年と20年の民主党予備選挙投票者の個人収入の分析は、「民主党がますます『金持ちエリート』の政党になっていることを明確に示した」とのことだ。ちなみに、投票者について代表的な16州の郡部別まで出ていて、世帯収入6万ドル以下の投票者が08年には35%だったが、20年には29%にまで落ち込み、逆に8万ドル以上は25%から31%へと増えているとのこと。

かくして会田教授は「民主・共和両党の争いはかつてと逆転した「階級闘争」の様相を見せつつある」とみておられる。「階級闘争」とはなかなか激しい言葉だが、アメリカが「分断社会」であることは間違いなさそうだ。なぜこのような逆転が起きてきているのか、よく分析をしていくべき点だろう。

日本の民主党時代にも、国会議員候補者では高学歴で比較的収入が高そうなインテリ中間層が増えてきたと感じたことがあるが、社会党時代から長く労働組合を経験した小生にとっては、支持基盤がどうなっていったのか、あまりこの辺りの正確なデータは無いように思われる。案外、アメリカ同様の傾向が少しあるのではないかと思ったりするが、あくまでも「感」でしかない。

来週15日号は、休刊とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。


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