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労福協 活動レポート

2023年12月11日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第321号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

岸田総理は安倍派の政治資金問題で政権維持できないのでは

岸田政権が音を立てて崩れ落ちようとしているのだろうか。自民党各派の派閥のパーティ券(1枚2万円が相場)という政治資金問題がもたらした衝撃は、予想を超えた広がりを見せており、とりわけ清話会(安倍派)のキックバック金額が、報告書に記載されることなく5年間で5億円を超す巨額にわたり、毎年1000万円近い金額が事実上の裏献金となって安倍派幹部を直撃している。朝日新聞紙上では、松野官房長官、西村経済産業大臣、高木自民党国会対策委員長が更迭されるとの報道が一面を大きく飾っている。さらに、政調会長の萩生田光一氏も俎上に上がっており、事実上の役員交代と絡んだ内閣改造になるのではないかと想定されている。

官房長官らを更迭しても再び安倍派重視の登用はできないのでは

弱小派閥出身の岸田総理が最大派閥である安倍派の全面的な支持のもとに組閣できてきただけに、果たして素直に内閣改造という形で事態が乗りきれるのかどうか、まことに危ういものがある。何となれば、自民党内で100名近い勢力を有する大派閥が起こした政治資金疑惑問題であり、安倍派からの後任の人材登用は不可能に近い。国会終了後には検察の全面的な捜査の手が入り、安倍派だけでなくその他の派閥の政治資金問題についての捜索も進めば「第2のリクルート事件」となって政権を直撃しかねない。検察の方も地方からの応援を頼んでいるとの情報もあり、かなり腰の入った捜査が続けられるに違いない。

問われるマスコミや野党(徐く共産)の調査能力不足

13日で終わる臨時国会だが、これからどのような展開になっていくのか、当面は内閣不信任案を野党側が提出していくのかどうかだが、維新や国民民主党も含めた野党側の今後の政局展望が問われてくる。安倍派だけに疑惑が集中しているが、二階派でもキックバックがあったとの報道もあり、政治資金パーティ疑惑の全貌がもう少し明らかになればと思うのだが、野党(共産党を除く)側の調査能力も問われているように思う。今回の政治資金パーティ券の問題も、日本共産党の赤旗報道に端を発して、政治資金オンブズマン代表の上脇博之神戸学院大学教授からの刑事告発から本格化したわけで、マスコミも含めてこれまでの調査報道の在り方が問われているのかもしれない。

岸田内閣支持率+自民党支持率の5割以下、政権は本物の危機へ

それにしても、今年5月以降の岸田政権に対する支持率の低下は急ピッチで進み、12月の調査がいつ実施されるのか定かではないが、内閣支持率が30%を切り20%台そこそこ(20%を切ることもあり)にまで落ち込むことも十分に予想される。もう一つ注目は、今回は自民党の支持率である。内閣支持率と自民党支持率の合計が50%を割れば、政権が危うくなるとは自民党参議院会長を歴任された故青木幹雄元官房長官の「青木のテーゼ」だが、今回は両社合わせて50%を切ることも十分予測できるわけで、自民党内からどんな動きが出てくるのか、巷には石破茂元幹事長や河野太郎デジタル大臣、さらには小泉氏などが取りざたされているが、案外上川陽子外務大臣が初の女性総理大臣という触れ込みで「急場しのぎ」での登場を用意するのかもしれない。

政治の世界でよく出てくる「困った時の女性頼み」は、ジェンダー問題に敏感になりつつある今日、間違いなく女性からの反発を買うと思うだけに、それもまた難しいかもしれない。これから年末までの予算編成期、税制改正という難問も抱えて政権政党にとって一番忙しい時だけに、本格的な内閣改造や党人事がすんなりと進めていけるのかどうか、自民党は政権政党としての矜持が問われていると見ていいだろう。まさに、自民党は風雲急を告げている状態に突入し始めたようだ。

野党第1党、内閣不信任案提出を前向きに考えるべきではないか

さて、岸田内閣不信任案問題である。国会が終盤を迎えるたびに恒例となったように内閣不信任案が提出されるわけだが、パーティ券疑惑問題がこれほど大きく展開すると思われなかった時には立憲民主党の泉代表はやや後ろ向きの考え方であったわけだが、13日の国会終了を前に何の動きも示さないわけにはいかないことは言うまでもなかろう。しっかりと国会での野党の立ち位置を国民に示していくべきであり、与党側が動揺している姿を浮かび上がらせていくべき時であろう。

総選挙に向けて自民はどんな構想を打ち出してくるのだろうか

前回の総選挙から2年を過ぎ、来年の9月には自民党総裁選挙が実施されることになっている。岸田総理は、何としても長期政権を夢見て総裁選挙での再選を目指すべく党内派閥の支持の下でスタートし、自らの手で解散・総選挙の勝利を勝ち取って自民党総裁選挙を出来れば無競争に持ち込みたいと考えていたことは間違いない。今年の通常国会末の6月、更には今年9月、内閣改造直後の解散・総選挙というタイミングを失してしまったわけで、今ではいつ退陣を迫られてもおかしくない状態へと落ち込んでしまったわけだ。この難局を誰がどう打開していけるのか、一つの焦点は岸田総理に取って代わる人材が出てくるのかどうか、という点だろう。

産経新聞「夜の政論」に登場した枝野幸男前代表、再び出番意識か

一方、野党側の動きであるが、立憲民主党と日本維新の会、更には国民民主党との間には自民党との立ち位置において大きな落差があるだけに、野党共闘による政権交代へと展開することにはなりにくい。共産党や社民党さらには令和新選組などとの共闘だけでは力不足であるが、選挙での共闘に向けて全力を挙げていく以外にはない。そんな立憲民主党だが、枝野幸男前代表が、産経新聞の「夜の政論」に登場して「もう自民党は岸田文雄首相で総選挙をしてくれない」と酒を飲みながら産経記者との懇談の記事を掲載している。場所は安倍元総理の通った四谷の「龍月園」という焼き肉店。冒頭今の政局について次のように述べている。

「首相に解散権があるって嘘だからね。勝手にやろうとしたら、解散に反対する閣僚を罷免しなければならなくなる。今は自民の各派が解散させないでしょ。かといって傷を抱える派閥は『岸田降ろし』なんてできないだろうし。当面、来年9月の自民総裁選までズルズルいくんだろうね」

立憲民主党内リーダー争いに蠢く昔の名前、夢よもう一度か

そのほか、いろいろと酒の場とは言えかなり自由奔放にしゃべっているようだが、次の総選挙は岸田総理以外の首相の下での戦いになるとみて、その厳しさを党内向けに喧伝している。もう一度代表にでも出馬しそうな勢いでしゃべっていて、改正した「枝野ビジョン」にも触れている。一度読んだ記憶があるのだが、何故か新しさを感じなかった記憶がある。「日本的な保守」という言葉や「宏池会に近い」という言葉がやけに印象付けられたが、かつての左翼からは遠い存在だと思われたいのかもしれない。そういえば、小沢一郎氏も動き始めたようだし、立憲民主党内のリーダー争いにも拍車がかかり始めたのかもしれない。再び政治の世界が大きく揺れ動き始めるのだろうか。年末から年始にかけて、どんなドラマが始まるのだろうか。


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