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労福協 活動レポート

2024年10月28日独言居士の戯言

独言居士の戯言(第362号)

北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹

総選挙速報、自公でも過半数割れか、立憲や国民躍進で政局流動へ

総選挙の開票速報の結果について、出口調査を基にして当選者を予想しているが、大勢として自民党は朝日新聞の出口調査では185議席へと改選議席を大きく割り込み、同じく26議席程度の公明党と合わせても210議席程度と過半数の議席を確保できないとみる予想が出ている。最終的にはすべての開票が終了しなければ確定できないし、無所属議員の当選者の追加公認がどの程度出てくるのかによっても変わってくるわけで、与野党逆転による政権交代が実現できるかどうか、微妙になっている。一方、野党側では立憲民主党が152議席程度へと大きく議席を伸ばすものの、単独で自民党獲得議席を上回ることはかなり厳しそうである。事前の予想通り、国民民主党とれいわ新選組が議席を大きく伸ばす見込みだが、日本維新の会は改選議席を守れず共産党も伸び悩んでいる。この結果をどのように見たらよいのか、総ての投票結果が出てきちんとした分析が求められるわけで、少しく時間をかけてみていきたい。

石破政権の行方や如何、国民の厳しい判断をどう受け止めるのか

9月27日、自民党総裁選挙で石破元幹事長が5度目の挑戦で総裁の座を射止めたのだが、何のために総理・総裁になろうとされたのか、その後の展開は理解に苦しむことの連続であった。何よりも解散の時期を巡る変節は、直前まで約束していた国会での予算委員会での論戦を回避するもので、変節したと見られたことは間違いない。

さらに、解散・総選挙に向けて策定された自民党の政策の中には、石破総理が総裁選挙までに公約してきたことがほとんど含まれておらず、アベノミクスに対する評価も「否定」から「肯定」へと大転換する始末である。24日に明らかになった非公認候補者への公認候補と同額の2000万円活動費の交付について、「こういう報道には怒りを覚える」との発言が飛び出すなど、これがあの「党内野党」とまでいわれた石破茂新総理の発言なのか、という思いを禁じえなかった。少なくとも今回の獲得議席の状況を見る限り、自民党に対する国民の厳しい判断が下ったものと見ることができそうだ。

政治とカネが中心に、社会保障問題を巡る各党の立ち位置や如何

政権選択である衆議院選挙であり、すべての政策課題が公約として展開されているわけだが、自民党内の「裏金問題」を中心にした「政治とカネ」の問題に焦点が当たっているために、それ以外の重要な課題についての政策論争は低調に終わっているようだ。

私が一番注目したのは、税や社会保障という国民「負担」の問題である。もちろん、どの政党もさすがに今「増税」を前面に打ち出している政党はなかったが、消費税の減税や廃止、更には「可処分所得の引き上げ」という公約に秘めた「減税や社会保険料の削減」を提起した政党が複数存在している。

では、税金や社会保険料は一体何に使われているのだろうか。社会保険料は年金や医療・介護、子育てなどに直接使われてきたことは間違いないわけで、結果として税を含めた社会保障財源を削減して「小さい政府」にしていくことを目指そうとしているわけだ。それで一番被害を受けるのは、多くの社会保障でもって生活を維持し続けている圧倒的に多くの国民であることは間違いない。今高齢化していない働き盛りの国民も、やがて必ず高齢者となり年金や高齢者医療・介護のお世話になるわけで、税や社会保険料を低下させればその影響は自分たちの老後にも確実に及んでくる。過去の先人たちが築いてきたセーフティネットを崩壊させてしまうことになるわけで、ただでさえ低いレベルの社会保障水準を引き下げてしまう愚挙を厳しく見ておく必要がある。

社会保険料削減や減税による小さい政府、格差はますます拡大へ

こうした主張をしている政党として、「日本維新の会」(以下「維新」と略す)や国民民主党、さらに「れいわ新選組」(以下「れいわ」と略す)が挙げられるが、「維新」は文字通り「小さい政府」を実現させようとしており、新自由主義路線を貫こうとしているので他の2党とは異なる立ち位置と見ている。大阪での「維新」の人たちが実践してきたことを見てもそれは言えるのだと思う。

一方、国民民主党の玉木代表は、財務省出身者とは思えないような発言を繰り返していて、理解に苦しむ。「可処分所得の増加」の主張だが、賃金の引き上げによる所得水準の引き上げではなく、税や社会保険料を除いた可処分所得の引き上げのためには減税や社会保険料の引き下げを主張しているわけで、一時的に若者や働き盛りの方達に寄り添っているように見えているが、もしそうだとすれば視野狭窄症以外の何物でもない。当面の支持を拡大しようとする戦術かも知れないが、こうした公約を提起したことの歴史的な汚点は消え去ることは無く続くことに恐れを抱くべきだ。

消費税の引き下げという「ポピュリズム」の拡大は許せない

「れいわ」の主張は、まさにポピュリズムそのものであり、消費税減税どころか廃止にまで言及している。おそらく、政権批判のために国民の中で評判の悪くなってしまった消費税に的を絞って攻撃しているわけで、まともに政権を獲得して責任を持った政治を展開する意思があるのかどうか、実に疑わしい。

今、国民民主党と「れいわ」が支持を広げ、獲得議席を大きく伸ばす勢いとなっている。もちろん、少数政党なので絶対数ではまだ大きな力を持つまでには至っていないが、これからの議会政治の中で一定の力を持つことは間違いないわけで、新しく日本保守党の台頭と相まって日本政治の混迷への一里塚にならないよう祈るばかりである。


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