
2025年8月4日
独言居士の戯言(第386号)
北海道労福協政策アドバイザー(元参議院議員) 峰崎 直樹
参議院選挙、自民党の敗北、石破総理退陣か? どうなる秋の政局
7月20日実施された参議院選挙、自民党と公明党の敗北により、衆議院に引き続いて参議院でも与党の自民・公明両党が過半数を割ってしまい、石破政権は不安定な政権運営を余儀なくされつつある。衆議院に引き続いて参議院まで過半数を失ったことは、政権維持にとって致命的であり、その回復のために場合によっては連立の組み換えまで余儀なくされてくる。自民党内には8月1日に開会される臨時国会を前に石破総裁を交代させる動きがあったようだが、結果として8月8日に開催される予定の自民党両院議員総会で新総裁選出手続きを決めることになっている。もっとも、そこでは新総裁は決まらず8月末までに参議院選挙敗北の総括を進め、そのうえで森山幹事長が辞任する意向を固め、石破総裁の去就も当然そのことによる影響を受け、共に辞任することになるものと見込まれているとのことだ。
衆参共に少数与党、連立の組み換えができるのかどうかがカギ
次の自民党総裁が誰になるのか、その新総裁は果たして自公両党で衆議院だけでなく参議院でも過半数を割り込んでいる中で、首尾よく新総理大臣にまで選出できるのかどうか、数の上ではなかなか簡単ではないようだ。それでも、無所属議員などを巻き込んで比較第1党という立場を生かして新総理大臣の獲得へと進むこともあり得るわけだが、それは奇策なのだと思う。おそらく、今週末8日に開催される自民党の両院議員総会では、石破総裁に代わって新総裁選出、引き続いて秋の臨時国会で新総理大臣の選出という流れが決められるのだろう。昨年秋の総選挙、6月都議会議員選挙、7月参議院選挙と3つの重要な選挙に敗北したことの政治家としての石破自民党総裁の責任は大きいのだろう。どのような総括が進められるのか、次の総裁は誰が選出されていくのか、その新総裁をどのように少数与党の中で総理大臣に就任させていけるのか、今後の国内政局の動きがどのように展開されていくのか、連立の大きな組み換えも含めて「政界秋の陣の幕」が間もなく切って落とされようとしているのだ。先ずは8月8日から眼前で展開されていく自民党総裁選挙の行方に注目していきたい。
元気の無さが気になる立憲民主党、野党第1党すら危うい存在感
実は、今進んでいる政局を振り返ってみたとき、野党第1党の立憲民主党の動きが気になる。昨年秋の総選挙では議席を伸ばした(98議席から148議席へ)ことにより「勝利」感が漂っていたのだが、今年7月の参議院選挙での獲得できた議席数や得票数については「勝利」とは言えないものでしかなかった。立憲民主党の元気のなさこそ政局の動きの中で気になっているわけだ。象徴的なデータとして、今回の参議院選挙での比例区では野党の獲得した議席が国民民主党、維新の党、立憲民主党いずれも7議席だったわけだ。その獲得できた得票数はそれぞれ762万票、743万票、740万票となっており、立憲民主党は野党第1党としての存在感を失っているのだ。
立憲民主党と国民民主党はいずれも連合傘下の労働組合の支持を受けており、かつては「社会党・総評」ブロック、「民社党・同盟」ブロックとしてしのぎを削ってきたわけだが、労働戦線の統一以降旧総評系労組の組織力が落ち込み始めている。官公労の中核である自治労や日教組などが健闘しているとはいえ、組織力の全般的低下が気になるところである。
