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労福協 活動レポート

2015年7月15日独言居士の戯言

独言居士の戯言 (第ゼロ号)

元参議院議員 峰崎 直樹

 このたび、北海道労働者福祉協議会のアドバイザー役となりました峰崎直樹でございます。参議院議員を辞めて早くも5年、齢も70歳の古稀を迎える年になった年寄りに、何ができるかわかりませんが、「独言居士の戯言」として自分なりの思いを、現役の皆様へのメッセージとしてお送りすることにします。どのくらいの頻度で何時まで続けられるかわかりませんが、1000文字前後の短文に込めた思いをくみ取っていただければ幸いでございます。おそらく、政治と経済にまたがる諸問題に焦点を当てたいと思いますし、当面は「アベノミクス」と称される現政権の経済・財政政策を中心に問題を提起していきたいと思っています。しばらくの間(確か契約上は1年だったかな)、お付き合いをお願いするところでございます。(以下、である調へ)

 

アベノミクスとは、三本の矢は束ねて強くなったのだろうか

第一の矢「超金融緩和」政策について

アベノミクスと言えば「三本の矢」が思い起こされる。毛利元就にちなんだこの逸話は、安倍総理の選挙地盤とした山口県だけでなく、広く中国地方全般に広がっており、戦国武将毛利家の影響はそれだけ広かったことを示している。何を隠そう、小生の生まれた広島県でも「三本の矢」の逸話は広く人口に膾炙しており、Jリーグ一部所属のサッカーチーム、サンフレッチェ広島のサンフレッチェは三本の矢からきていることは周知の事だろう。

さて、その3本の矢であるが、第一の矢である「金融政策」は超金融緩和策であり、黒田日銀がインフレターゲット政策を定め、消費者物価2%増を目指して黒田バズーカ砲と称されるほどの超金融緩和策(当初年間60兆円から昨年秋80兆円国債購入増をめざし、今や300兆円を超すマネー供給を進めている)をただ今展開中である。当初は2年間で2%の達成を約束したものの、どうやら2年では難しく、3年目にずらしたようだが、あまり芳しい成果を上げるには至っていない(最新の消費者物価は今年5月で前年比0,5%で、食料品を除くと0,1%)。中には、若し2年で2%達成できなかったら辞める、と国会で豪語された学者出身の副総裁がおられたのだが、頭は下げたものの辞任に至っていない。学者も、一度地位に就いたら言行不一致になるのかもしれない。

確かに、緩やかなデフレからは少し浮上しかかったものの、デフレから本格的に脱却して経済が順調に拡大したようには見えず、相変わらず景気は一進一退を繰り返している。3年目と言えば、来年3月だが、果たしてインフレ目標2%が達成できるのかどうか、なかなか難しそうではある。いずれ、日本経済の問題がどこにあるのか、自分なりに頭を整理して後日展開してみたいのだが、それよりもバズーカ砲と称された超金融緩和策は、円安と資産価格(とりわけ株価)上昇をもたらし、円安は物価高を招き、株価の上昇は富裕層の方たちにキャピタルゲインと言う投資収益をもたらした。(為替は1ドル約80円から約120円へ、株価は約8,000円台から2万円台へ。いずれも2,012年秋の総選挙頃から今日までの数値)

もっとも安倍総理は、まことにツキに恵まれたようで、円安による輸入物価の上昇によって国民生活に打撃を与えるのでは、と思っていたら、なんと一番国民生活全般に影響のある石油価格の大幅な下落(一年前の5月ごろ1バーレル100ドルを超していたのが最近では50ドル近くまで低下)が起こり、食料品価格の上昇は少しみられるものの、全体として円安による物価上昇は軽微に終わっている。株価の上昇による富裕層の方たちの利益は、ごく限られた投資家層だけに限られ、一部は消費支出増につながっているだろうが、如何せん一部の富裕階層に限られ、富裕層の多くは利益を再び貯蓄や投資に回しているのだ。もちろん日本経済全体をけん引するほどの力に乏しいことは言うまでもない。

かくして第一の矢は、当初は大変な勢いで金融緩和が進められ、物価のほうもデフレからの脱却へと突き進むかに見えたのだが、残念ながら一年経過したあたりからその影響力がみるみる低下しはじめた。問題は、これだけ大量に抱え込んだ国債(今も毎月大量に買い込んでいて,GDPの60%=300兆円に達している)を、インフレが2%になった時にどのようにして元に戻していくのか、いわゆる超金融緩和政策からの「出口」論議が全くなされていない事であろう。未だそんな論議をしている段階ではない、と日銀幹部はにべもなく拒絶するのだが、アメリカではFRBが何時から正常な金利政策を展開できるのか、大問題になっている。日本銀行の抱えている国債の量は今や単独機関では最大の保有額を擁しており、その扱い方如何ではギリシア危機に見られるように、更なる消費増税や年金の削減等と言った国民生活に深刻、かつ重大な影響を与えることも十分にありうるだけに、この分野への警戒が求められる。

(以下次号へ)


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